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夏休みに入り、俺はバイトに専念していた。
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普段は学校が終わってからの週の3日、18時から22時までコンビニで働いているが、
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夏休みの間は週に4日または5日、11時から19時までのシフトで働く。
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瀬名 眞白
はあー……喉乾いた。腹も減った。

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間に1時間の休憩があって、今まさにその休憩中にミネラルウォーターを飲みながら、叔母さんが持たせてくれたおにぎりをかじっていた。
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瀬名 眞白
…ん?勝生?

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勝生からのLIN◯を確認すると、
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【明日バイト休み?】と書かれている。
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【バイト入ってる】とだけ返して、一旦マナーモードを解除してからスマホを長机の上にひょいと放り出した。
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瀬名 眞白
…鷹野、元気にしてるかな…。

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高校に入ってからは、夏休みや春休み、冬休みがあまり好きじゃなくなった。
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理由は一つ、鷹野に会えなくなるからだ。
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人には休息も必要なのは分かるが、何日も鷹野に会えないのはかなり堪える。
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だから、バイトをたくさん入れて忙しく過ごしていたら、あっという間に休みが終わるし、
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会えない寂しさも紛らわせられるという、安易な考えで働く俺。
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けど、昼間のコンビニは特に忙しくて、正直疲れも半端ない。
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瀬名 眞白
(なんかもう…苦行だな、苦行)

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――ピコン。
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通知音とともにスマホがピカッと光る。
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長机の上のスマホを再び手に取ると、
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武藤 勝生【次の休み、いつ?】
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瀬名 眞白
……

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遊びの誘いか?…と思い巡らせながら、おにぎり片手に返事を返した。
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瀬名 眞白
【明後日】

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武藤 勝生【よっしゃ!ちょうどいい、遊びに行こ!】
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瀬名 眞白
【ばあちゃんの手伝いは?】

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武藤 勝生【明日から3泊4日で温泉旅行に行くから、店を休みにするんだってさ】
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勝生のおばあちゃんは昔から駄菓子屋を営んでいて、夏休みの長期休暇のときには勝生が店を手伝いに行くことが多い。
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勝生曰く自分はおばあちゃん子らしく、確かに二人はとても仲がいい。
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武藤 勝生【で、休みもらった。】
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武藤 勝生【だから、遊びに行こうぜ。】
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武藤 勝生【眞白、バイト以外は、休みの日は寝てばっかりだろ?】
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ポンポンと連投が浮かび上がる画面を眺めながら二つ目のおにぎりを頬張りつつ、返信を打ち返す。
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瀬名 眞白
【疲れてっから寝るんだよ、休みの日は。】

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武藤 勝生【高校生のセリフじゃないね。】
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瀬名 眞白
【るせ。】

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武藤 勝生【明後日、家まで誘いに行くから。】
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瀬名 眞白
【強引だな。】

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瀬名 眞白
【どこ行くんだよ。】

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瀬名 眞白
【まず先にそれを教えなさい。】

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今度は俺から、一気に連投を送り付ける。
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この間の春休みは、勝生に遊びに行こうと誘われて何も気にせずについて行ったら、合コンっぽいものが繰り広げられた。
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どうやら、彼女がいない俺や他の男友達のために計画したらしいが、
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何が楽しくて、友達でもない女子たちと飯…。
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いや、鷹野のことを好きになる前の俺ならまだなんとか大丈夫だったかもしれないが、
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今や鷹野一筋な俺にとって、それはまるで拷問のようだった。
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とにかくそれ以降、勝生からの誘いには十分警戒するようにしている。
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瀬名 眞白
ったく、また合コンみたいなノリの遊びだったら、絶対行かねー。

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ミネラルウォーターを口にしながらひとりごち、勝生の返信を待った。
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武藤 勝生【ある意味、僕の用事に付き合わせる感じになるから、】
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武藤 勝生【眞白には少し迷惑かもだけど。】
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瀬名 眞白
【また合コンみたいな、アレか?】

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【だったら丁重にお断りします】…と。
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武藤 勝生【いや、そうじゃないよ。】
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瀬名 眞白
……

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【じゃあなによ?】と打ちかけたが、指を止めて既読スルー。
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残りのおにぎりを口内にしまい込んでもぐもぐしながら、もう一度ミネラルウォーターを口に含んだ。
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