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瀬名 眞白
……、

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なに言ってんだよ鷹野、ただ強いだけじゃ生きられない。
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俺が高校に入ってからも生き続けていられるのは、鷹野に出会えたからなんだよ。
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どれほど鷹野の存在が、俺を笑顔にしてくれてるのか…全然知らねーだろ?
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瀬名 眞白
…と、とりあえず、ありがと。

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結局口に出せたのは、ぎこちない「ありがとう」の言葉だけ。
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想いは溢れるけど、言えるわけなくて。
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鷹野 光星俺は…、
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鷹野 光星おまえの心も体も傷つくのが嫌だ。
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瀬名 眞白
えっ…

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鷹野 光星本当は、喧嘩だってしてほしくない。
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鷹野 光星今回も、おまえがやられてなかったからよかったものの…、
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鷹野 光星そうじゃなかったらと思うと、ゾッとする。
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瀬名 眞白
…た、鷹野…?

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鷹野 光星いつだって…、
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鷹野 光星どんなときも、おまえのことが心配だ。
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瀬名 眞白
――えっ、

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今、なんて言った?
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瀬名 眞白
…え、

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瀬名 眞白
そ、それってさ、

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それってなんか、なんとなくだけど…、
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もしかして、とても深い意味を含んだ言葉、だったんじゃね…?
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瀬名 眞白
鷹野、あのさ、それって――

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鷹野 光星なんでもない。
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瀬名 眞白
えっ、いや、即否定じゃなくてさ、

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瀬名 眞白
なんでもないことねーだろ、なんか言ったじゃん?

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鷹野 光星別に…
ひとりごとだよ、気にするな。 -
瀬名 眞白
いやいやいや、違う違うっ、

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瀬名 眞白
人の目を見ながら言うひとりごとなんてあるかよっ、

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瀬名 眞白
めっちゃ気になるんだがっ。

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さらに問いただそうと勢いよく立ち上がったと同時に、
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山那 みさき…眞白!鷹野先生!
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保健室のドアが開いて山那が顔を覗かせた。
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瀬名 眞白
…なっ――

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瀬名 眞白
(なんで今、都合よく現れる…っ)

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鷹野 光星おっ、山那!
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鷹野 光星もう大丈夫か?
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山那 みさきはいっ、私は大丈夫です!
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山那 みさき何があってこうなってしまったのかも、しっかり話してきました。
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山那 みさきあの3人も泣きながら、「もうバカなことはしない」って反省してましたよ。
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鷹野 光星ちゃんと反省してたか…良い傾向だな。
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瀬名 眞白
(うー、山那のせいで話がすり替わってしまった…)

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内心でむくれながら、しぶしぶ話を繋ぐ。
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瀬名 眞白
当然だ。
涙が枯れるまで泣いて反省すりゃいいんだよ。
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山那 みさきみんな、眞白にボコボコにやられて痛そうだったよ。
すっかり怯えてた。 -
瀬名 眞白
制裁だからな。

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瀬名 眞白
いつもより痛がって怯えるくらいでちょうどいい。

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山那 みさきそうだね…。
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瀬名 眞白
…ん?
まさか、おまえ…、
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山那 みさきえっ?
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瀬名 眞白
酷いことを企んでたあいつらのことを、「かわいそう」だとか思ってねーよな?

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山那 みさきお、思ってないよっ。
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山那 みさきただ…、
眞白って、すごく喧嘩が強いんだなって思っただけ。 -
瀬名 眞白
……

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瀬名 眞白
…そういうの、慣れてんだよ。

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山那 みさき…『喧嘩に慣れてる』ってこと?
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瀬名 眞白
…まあな。

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瀬名 眞白
(そうか…山那は晴蘭に入ってからの友達だから、俺の過去を知らねーんだった)

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山那 みさき…慣れててもなんでもいいや。
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瀬名 眞白
…ん?

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山那 みさき眞白が友達だってことを誇りに思っちゃう。
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瀬名 眞白
なんだそれ。大袈裟。

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山那 みさきだって、ほんとにそう思うんだもん。
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山那 みさき助けてもらった御恩、一生忘れないから。
本当にありがとう。 -
瀬名 眞白
…おう。

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山那のまっすぐな『ありがとう』が、ちょっぴり照れくさい。
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中学時代に暴れ回って身に付いたステゴロが人助けになるなんて、あの頃は思いもしなかったから。
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山那 みさき手首、大丈夫?
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瀬名 眞白
ああ。なんてことねーよ。

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瀬名 眞白
(……それにしても)

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平静を装って山那と話しながらも、いまだモヤモヤする思いを抱き込んだまま。
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瀬名 眞白
(あのときの鷹野…どういう気持ちで言ったんかな…)

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山那の突然の登場で、それを知ることがうやむやになってしまった。
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鷹野の意味ありげな言葉が頭の中をぐるぐる廻って、俺はしばらくの間、眠れない夜を過ごすことになる…きっと。
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