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鷹野 光星そんなことになるわけないだろ。
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鷹野 光星今回の騒動は、山那を助けるためだったんだから。
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瀬名 眞白
でも、晴蘭始まって以来じゃねーかな…こんな騒動。

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鷹野 光星そうだとしても。
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鷹野 光星俺がそんな処分になんかさせない。
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瀬名 眞白
…、

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鷹野のどこか決意めいた瞳に、胸がジンと熱くなる。
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これまでにも俺は、いつも生徒のために動く鷹野を遠くから見てきた。
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それが今、鷹野は俺のために奔走しようと心を決めている。
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もうそれだけで…十分すぎるくらいに嬉しくて。
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鷹野 光星とにかく、そこは俺に任せなさい。
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瀬名 眞白
……分かった。

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瀬名 眞白
ありがと。

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鷹野 光星おそらく職員会議では、瀬名の正義をどこまで認めるかが争点になってくると思うけど、
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鷹野 光星俺は瀬名が間違ったことをしたわけじゃないと思っているから。
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鷹野 光星きっと黒木先生も、俺と同じことを思うはずだよ。
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瀬名 眞白
……うん。

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鷹野 光星ちなみに、怪我をしたあの3人にも瀬名の親御さんにも、学校側から連絡が行くと思う。
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瀬名 眞白
…え、やっぱり?

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瀬名 眞白
俺の実家にも連絡行く?

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鷹野 光星ああ。
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鷹野 光星学校側もきちんと説明するけど、瀬名も御両親に事の経緯をちゃんと伝えるんだぞ?
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瀬名 眞白
……

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『両親』というキーワードを聞いただけで、思わず眉根を寄せてしまう。
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母親はまだしも、父親の存在は俺の心をざらりと搔き乱すから。
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鷹野 光星…瀬名?
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瀬名 眞白
…「事の経緯」ってなに。

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瀬名 眞白
普通に喧嘩しただけだけど。

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つい素っ気ない切り返しをしてしまった。
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鷹野 光星『普通の喧嘩』じゃないだろう。
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鷹野 光星山那を守り抜いた、ある意味の闘いだ。
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瀬名 眞白
…、

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瀬名 眞白
そう思えるのって、鷹野だからじゃねーの?

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鷹野 光星そんなことないさ。
きっと瀬名の御両親も分かってくれる。 -
瀬名 眞白
……

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鷹野 光星分かったな?
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鷹野 光星おまえがむやみに喧嘩したんじゃないってこと、自分からもちゃんと伝えるんだぞ?
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瀬名 眞白
……

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鷹野 光星…どうした?
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瀬名 眞白
俺の家に連絡しても、無駄だと思うけど。

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鷹野 光星「無駄」?どうして?
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瀬名 眞白
鷹野と真逆の考え方をする人間だからだよ……特に父親は。

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鷹野 光星えっ?
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瀬名 眞白
…外から見たら、まあ、いい家柄だよ、俺の家は。

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瀬名 眞白
何不自由なく、世間一般の…どっちかっつーと、それよりは裕福だと思うし。

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瀬名 眞白
でも、あんな窮屈な家…、

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ほんの少し思い巡らせただけで、気持ちがどんより重くなってくる。
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可能なら、このまま黙り込んで話さずにいようと思ったけど。
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鷹野 光星…瀬名?大丈夫か?
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鷹野がすごく心配そうに見つめてくるから。
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迷ったけど、少しだけ『俺の話』をすることにした。
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瀬名 眞白
……俺、

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瀬名 眞白
父親からは見限られてるから。

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鷹野 光星…え?
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瀬名 眞白
つーか、俺が自分で見限られるようにしたんだけどさ。

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鷹野 光星…どういうことだ?
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瀬名 眞白
単純に、父親の息子を辞めたいって思ったんだよ。

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鷹野 光星…―――
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瀬名 眞白
…うちの家は父親がてっぺんだから、どんな話でも父親の耳に入れて理解を得なきゃならねーところがある。

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瀬名 眞白
でも、見限った俺のことなんであの人からすればどうでもいいから。

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瀬名 眞白
母親や兄貴はともかく、俺のことなんて眼中にねーんだよ。

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瀬名 眞白
とにかく、俺の話をあの人にしたところで無駄だってこと。

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好きな人からじっと見つめられるなんて、ほんとはすごく嬉しいことなのに。
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今の俺は、鷹野の双眸を避けるように窓辺へと視線を飛ばした。
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