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敷地の端っこで怯える山那以外の誰かがこの騒ぎを知り、通報したんだろう。
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いつもは穏やかな男性教員たちが、まるで獣でも見るような面構えで俺のことを押さえ込もうとしてくる。
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瀬名 眞白
っ、…んだよ、痛てーな!

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鷹野 光星先生方!待ってください!何があったのか、先に瀬名の話を――
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-倒れてる3人を見れば分かるでしょう!
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-ここまでの乱闘騒ぎを起こしたのは、瀬名なんですよ!?
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山那 みさき先生、違うっ、眞白は全然悪くない!
悪いのは、この3人なんですっ、 -
山那 みさき私を助けようとして、眞白は喧嘩したんですっ!
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鷹野 光星山那、それはほんとなんだな?!
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鷹野 光星つまりは、倒れている3人が、おまえに何かをしようとしたってことだな?!
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山那 みさきこんな状況で嘘なんか言わない…!
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山那 みさき眞白は私のせいで…っ、仕方なく喧嘩することになったんですっ!
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鷹野 光星…先生方!山那がこう言ってます!
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鷹野 光星すみませんが、瀬名ではなく、まずはその3人を取り押さえてもらえますか!
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-…し、しかし…、
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鷹野 光星万が一のときは、俺が責任を取ります!
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鷹野の渾身の一声で男性教員たちは戸惑いながらも俺から離れ、倒れ込んだままの3人を捕らえて引き起こした。
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山那 みさきっ、ごめん、ごめんね、眞白…、
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山那 みさきこんなことになっちゃうんなんて…っ、ほんとにごめん…っ。
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俺のシャツの袖を掴んで、山那が泣きじゃくる。
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瀬名 眞白
ばーか。

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瀬名 眞白
おまえが悪いわけじゃねえのに、謝る必要なんかねーの。

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山那 みさき…ッ、眞白~~っ!
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山那 みさきほんとに、いっぱいいっぱいありがとう…!
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瀬名 眞白
…あ。

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瀬名 眞白
彼氏さんには今日のこと、すぐには話すなよ?

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山那 みさきえ、どうして…
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瀬名 眞白
具合が悪いときは、安静が一番だから。

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瀬名 眞白
病人には、刺激が強い話とかしねえほうがいいだろ?

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瀬名 眞白
「相手にはちゃんと分かってもらえた」ってそれだけ言えよ?いいな?

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山那 みさき…眞白…、っ、
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山那 みさきうわーんっ…優しすぎるようっ…!
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瀬名 眞白
あ、バカ、もう泣くな…な?

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山那 みさきうん…っ、うんっ…、
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瀬名 眞白
よし。

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頷いた山那の細い肩をポンとした拍子に、右手首にキリっと痛みが走る。
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瀬名 眞白
(っ、ツ…、久しぶりに喧嘩したからなー…)

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どうやら捻ってしまった手首を隠すように、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
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鷹野 光星山那。
先生たちにこの3人を職員室まで連れて行ってもらうから、 -
鷹野 光星一緒に行って、いったい何があってこうなったのかの事の経緯をきちんと話してもらえるか?
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山那 みさきはいっ…もちろんです!
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鷹野 光星頼んだぞ?
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鷹野 光星彼らの手当は、救護の先生にそっちに向かってもらうから。
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鷹野 光星俺は、保健室で瀬名の応急処置をしてから、あとでこいつと一緒に職員室に行く。
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瀬名 眞白
…、え、

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山那にテキパキと指示を出しながらこちらに振り向いた鷹野の意図が見えなくて、不思議そうに見遣る。
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瀬名 眞白
なんの応急処置だよ?

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瀬名 眞白
俺、怪我してねーけど?

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瀬名 眞白
服とかに付いてる血、あいつらのだから。

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鷹野 光星だから、あの3人のもとには救護の先生に行ってもらうことにしたんだ。
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鷹野 光星俺は、おまえの服に付いた血を見て言ってるんじゃない。
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鷹野 光星…手首、痛めたんじゃないのか?
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瀬名 眞白
…え、

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鷹野 光星さっき、山那の肩に手を置いたときのおまえの表情が、いつもと違ったからな。
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瀬名 眞白
す、すげーな…、よくぞ見抜いた。

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見破られたことが少し照れくさくて冗談めいた笑いを添えて言ってみたが、口元を真一文字に引き結んだ鷹野の表情は固いままで。
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鷹野 光星おまえの副担をナメるな。
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瀬名 眞白
べ、別に、ナメてねーし。

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凛として言い放った鷹野に胸がきゅんとなったのは内緒。
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それこそ見抜かれないように、すぐさまそっぽを向いて取り繕った。
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