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瀬名 眞白
(うーん…なるほど)

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瀬名 眞白
(そりゃ、「ありがとう」だけじゃなく、「ごめんね」って言うわ…)

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どうして山那がさっき、「ありがとう」の言葉に「ごめんね」とひっそり付け足したのか。
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目の前の対象者と対峙しながら、ぼんやりと思う。
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瀬名 眞白
" 山那…おまえ、たぶらかした男って一人じゃねーのかよ "

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山那 みさき" ち、違うよ、一人だよっ…てか、たぶらかしてなんかないしっ "
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ぼそぼそと小声で小さな一悶着を起こしつつ。
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まあでも、つまりはこのメンツを物陰からこっそり見た山那は、なんとなく不穏な気がしたんだろう。
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瀬名 眞白
…じゃあさ、

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瀬名 眞白
なんでここに、3人もいんの?

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前に向き直って、相手側に聞こえるように声を放った。
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--みさきちゃん、待ってたよ。
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--こいつらは、僕の友達。
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--今日は晴蘭の学園祭だし、ついでに楽しもうと思って一緒に来たんだ。
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両側の二人を指し示しながら、そいつは質問の答えを笑顔で投げ返した。
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どちらかといえば優等生風で、顔立ちも悪くないそいつは爽やかそうに見えるが、なんとなく…。
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瀬名 眞白
" 山那に告ったヤツって、あいつか? "

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山那 みさき" うん、そう… "
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瀬名 眞白
" …そか "

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瀬名 眞白
(なーんか、気に入らねえな…)

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優等生風の両サイドに佇む向かって右側のヤツは、少しヤンチャ風。
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過去にヤンチャしてた俺から見たら、あくまでヤンチャ『風』。
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勘だが、そいつは優等生風とは古い付き合いな気がする。
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左側のヤツは優等生風と同じくらいの風貌で、おそらく高校も同じ…といったところか。
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そいつは寡黙そうで、押し黙ったままだ。
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--それで、みさきちゃんの彼氏っていうのは……キミ?
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--イケメンだね。
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瀬名 眞白
いや。俺はこいつの友達。

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--え?彼氏じゃないんだ?
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瀬名 眞白
ああ。違う。

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瀬名 眞白
でも、山那にはちゃんと大学生の彼氏がいる。

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瀬名 眞白
今日もその彼氏が来る予定だったけど、体調崩して来れなかったんだよ。

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瀬名 眞白
で、代わりに俺が、彼氏の存在を証明しに来たってわけ。

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--そうなんだ。本当の彼氏に会いたかったけど…、
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--体調崩しちゃったなら仕方ないね。
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瀬名 眞白
…つーわけだから、

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瀬名 眞白
山那のこと、諦めてやってくれ。

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--…そうだね。
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瀬名 眞白
(なんだよ、物分かりいいじゃん)

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瀬名 眞白
(……でも、なんか…、)

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意外とあっさり理解を示した姿にわずかな違和感を覚えた直後、
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優等生風が気怠そうに空を見上げた。
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--実はさ…、どっちでもいいんだよね。
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--みさきちゃんに彼氏がいるとか、いないとか。
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山那 みさきえ?
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--最初から…
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--みさきちゃんのことは、みんなで『回そう』って決めてたから。
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山那 みさきえっ――なに、それ…、
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--聞こえなかった?
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--僕、みさきちゃんとヤリたいだけなんだけど。
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「あははっ!」と、続けざまに乾いた声でそいつは笑う。
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小首を傾げて山那を見据えてくる瞳は、空洞みたいにまるで闇。
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--今日で、僕のみさきちゃんへの『純粋な熱愛モード』はおしまい。
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そいつは、嘘みたいに豹変した。
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山那 みさき――
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瀬名 眞白
(ふざけやがって…)

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--友達のキミも思わない?
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--みさきちゃん、スタイル良いじゃん?
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瀬名 眞白
いちいち興味ねー。

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--特別可愛いわけでもないけど、そそるんだよね。
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山那 みさきそ、そんな…、
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--僕が本気でみさきちゃんのことを好きだと思った?
…笑えるなあ。 -
山那 みさきひどい…信じらんない…。
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--目を付けてたんだよ、ヤリまんとして。
彼氏がいるなら、もう男も知ってるだろうし。 -
--ほんとはね、今日お披露目してくれるはずだった彼氏には僕たちのサンドバッグになってもらって、
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--その後は、みさきちゃんと僕たちでホテルに直行ってことだったんだけど…、
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--一つだけ、予定が狂っちゃった。
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山那に向けていた視線を俺にスライドさせたそいつは、蔑んだように微笑む。
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--彼氏が不在だから、悪いけど…みさきちゃんの友達のキミさ、
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--今日来れなかった彼氏の身代わりになってね…、
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「サ・ン・ド・バ・ッ・グ」
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細い唇を揺らして、大げさに言葉を刻んで見せた。
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瀬名 眞白
ゲスが…。

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瀬名 眞白
山那、下がってろ。

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山那 みさきで、でも…っ、
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瀬名 眞白
「でも」じゃねーよ。邪魔。

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山那 みさき…っ、
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瀬名 眞白
今日ここに来れなかった彼氏のためにも、おまえになにかあったら困る。

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山那 みさき眞白…、
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山那は小さく震えながら、泣き出しそうな顔で俺を見上げた。
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