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黒木 紗衣もしかしたら…、
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黒木 紗衣冷たい飲み物を模擬店で出すことを提案したのも、私のことを考えてくれたからじゃない?
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瀬名 眞白
――…

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さすがは担任というか…鋭いな、黒木。
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黒木 紗衣その顔は…いい線いってるかな、私っ。
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瀬名 眞白
……かもな?

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黒木 紗衣私がどうしていつもアームカバーを着けてるのか…、
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黒木 紗衣その理由も、あなたなら見抜いてたりする?
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瀬名 眞白
あくまで俺の推測として、だけど。

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黒木 紗衣どんな推測?教えて?
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瀬名 眞白
『自分が英雄視されると嫌だから』。

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瀬名 眞白
簡単に言うと、そんな感じの理由。

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黒木 紗衣わあ…すごいっ!大当たりー!
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瀬名 眞白
ちょっ…、声がデカイって。

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瀬名 眞白
他のヤツに、どうしたのか聞かれてもいいのか?

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瀬名 眞白
そうなったら、その手のこととか、いろいろ知られっぞ?

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黒木 紗衣それは嫌です、面倒です…。
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瀬名 眞白
だったらいちいちはしゃがねーで、静かにしてなきゃダメじゃん?

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黒木 紗衣う…、
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黒木 紗衣瀬名くんが見抜いてくれたから、すごいなって、嬉しくなっちゃって、つい…。
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瀬名 眞白
……あ。
アイスティーが来たみたいだな。
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瀬名 眞白
それじゃ俺、そろそろ他の接客戻るわ。

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いいタイミングで、向こうからトレーにアイスティーを乗せた女子が歩いて来るのが見えた。
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冷たい飲み物に関する俺の策略や火傷の推察について、話を切り上げるにはちょうどいい。
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それにしても、
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黒木の明るくて素直な反応に少しばかりハラハラしながら踵を返す。
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瀬名 眞白
(大丈夫かよ、思ってたよりも天然か?)

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黒木 紗衣あ、瀬名くん――
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『ほんとにありがとうー!』
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俺のそんな心配をよそに黒木はもう一度、
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元気な声で心からのありがとうを伝えてくれた。
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瀬名 眞白
(…天然の純度、やっぱ高けーな、黒木)

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照れくささもあって、そんな皮肉めいたことをわざと巡らせながらも、黒木の太陽みたいな笑顔に心の中はほっこりとしていた。
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