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鷹野 光星…瀬名は、俺よりもずっと大人だな。
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瀬名 眞白
俺は鷹野よりも、人生5週くらい多めに生きてんだよ。

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鷹野 光星…そうかもしれないな。
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瀬名 眞白
いやいや、ガキに対してそこは突っ込もうぜ、オトナっ。

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鷹野 光星ははっ、でもほんとに…おまえはすごい。
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どこか清々しいような顔つきで、鷹野が微笑む。
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鷹野 光星まるで、悟りを開く仙人みたいだ。
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瀬名 眞白
「仙人」って…もうちょっと他の例えねーのかよ。

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顎に長い白髭を蓄えたツルツル頭のじいさんをイメージしてしまい、大きくNGを出す。
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鷹野 光星いいじゃないか、それだけ瀬名は頼りになるってことだよ。
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鷹野 光星…ありがとうな。
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ガチガチに縛られてた鎖がゆっくりほどけていくように、鷹野はさっきよりもまた笑顔になった。
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瀬名 眞白
ちなみにさ、

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鷹野 光星うん?
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瀬名 眞白
今日聞いた話は、絶対、誰にも言わねーから。

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瀬名 眞白
鷹野のためだけじゃなく、黒木のためでもあるからな。

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鷹野 光星……だから話せた。
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瀬名 眞白
え?

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鷹野 光星そんなおまえにだから、全て話せたんだと思う。
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鷹野 光星本当にありがとうな。
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鷹野 光星おまえから、また元気をもらったよ。
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瀬名 眞白
…お、おう。

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「俺だから」話せた?
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それってどういう意味?
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話の流れで…じゃなかったってこと?
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「また」ってなんだよ、気になる…。
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鷹野 光星瀬名は、とてもよく黒木先生のことを見てるんだな。
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瀬名 眞白
えっ?
ああ、まあ…、
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どうして「俺だから」なのか「また」なのか、その理由を聞こうとしたけど、鷹野の質問じみた言葉に掻き消されてしまった。
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瀬名 眞白
…まあ、黒木は俺が1年のときの副担だったからな。

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瀬名 眞白
鷹野よりは関わってる歴が長いし。

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鷹野 光星…俺は、瀬名が1年生のときは、3年生のクラスの副担だったからな。
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瀬名 眞白
…だよな。

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鷹野 光星あれ?知ってたのか?
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瀬名 眞白
ま、まあな。

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知ってるに決まってる。
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3年の副担だった鷹野が、担任と同じくらい生徒のために全力で向き合うその姿に惚れたんだから。
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俺の方こそ、そんな鷹野からいつも元気をもらえて、それは今も絶賛現在進行形だ。
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瀬名 眞白
…それじゃ、俺、そろそろ行くな。

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瀬名 眞白
クラスの奴らと模擬店の打ち合わせ、サボったら勝生にぶちのめされるわ。

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鷹野 光星すまない、長く引き留めてしまって。
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瀬名 眞白
いや、全然。

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瀬名 眞白
採点ミスのおかげで小テストは100点になったし、鷹野は元気になったし、

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瀬名 眞白
いいことづくめだったからな。

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鷹野 光星…俺も。
おまえのおかげで、立ち止まってた場所からようやく抜け出せるよ。 -
瀬名 眞白
……、

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鷹野 光星……瀬名?
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瀬名 眞白
…俺で良かったら。

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鷹野 光星え?
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瀬名 眞白
俺で良かったら、いつでも…、

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瀬名 眞白
どんなところからでも、明るいところに引っ張り出してやるよ。

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鷹野 光星――…
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瀬名 眞白
俺、こう見えて、めっちゃ力持ち。

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言いながら気恥ずかしくなってしまって冗談ぽく笑って見せると、鷹野は嬉しそうにはにかんだ。
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鷹野 光星ありがとう、瀬名…。
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穏やかな笑顔で頷いた鷹野が、このときどんな思いで居たのかは分からない。
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でもきっと、これまでよりは気持ちも軽くなって一歩踏み出せるはず。
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瀬名 眞白
学園祭のケーキセット、ちゃんと食べに来いよ?

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鷹野 光星もちろん。楽しみにしてるよ。
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瀬名 眞白
おう!じゃあな!

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――好きな人を笑顔にできるって、マジで最高だ。
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【鷹野のしがらみ 編】END
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