ウシジマくん呟き

独りぼっち 死ネタつぶやき

2026/01/21 08:09
白い空だった。
朝とも昼ともつかない、色のない空。
冷たいコンクリートに倒れたまま、丑嶋は目を開けていた。
腹から流れた血は、もう足元まで届いている。
誰もいない。
声もない。
手を伸ばしても、触れるものは空気だけだ。

「……みんな独りだ」

昔、自分で吐いた言葉が、
遅れて胸の奥に落ちてくる。
確かにそうだ。
死ぬ瞬間は、誰も一緒じゃない。
代わりはいない。
最後の呼吸は、自分のものだけだ。
だから今も、物理的には、完全に独りぼっち。
視界に映るのは空だけ。
雲も意味もない、ただの空。
――なのに。
なぜか背中が、
いつもの感覚を覚えている。
数歩後ろ。
近すぎず、離れすぎず。
命令されなくても立つ位置。
振り返っても、
そこには誰もいない。
それでも、いないはずの重さだけが、
確かにそこにあった。

「……来るなって言っただろ」

声にはならない。
誰にも届かない。
でも、その言葉を
聞く必要のある相手は、もう決まっていた。
独りで倒れて、独りで死ぬ。
それは間違いない。
けれど、最後に思い出したのが、
ずっと付いてきた男だったなら。
独りぼっちでも、
独りきりじゃない。
丑嶋は瞬きをしないまま、
空を見つめ続けた。
そこには何も映っていない。
ただ――
背中を預けてもいいと思えた男の記憶だけが、静かに残っていた。

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