ウシジマくん呟き

柄崎の片思い

2026/05/09 14:19
結局、なんか複雑な柄崎の片思いみたいなのいいよなあ⋯ってさー!?
って小話。柄崎視点。



新宿を歩いていた時、柄崎はふと前方の男二人に目を留めた。
肩が触れそうなくらい近い距離で、笑いながら並んで歩いている。
別に珍しい光景じゃない。 なのに、目が離せなかった。
社長は柄崎の視線を追って、その二人を見る。

「なに、知り合い?」

「……いや、違います」

そう返しながらも、柄崎はまだ二人を見ていた。
男同士であんな距離。 自分には、普通じゃない。
多分、他人事ならそれで終わる。
なのに。
もし隣にいるのが社長だったら、なんて考えた。
肩が触れるくらい近く歩いて、 当たり前みたいに隣にいて、 あんな風に笑えたら。
──いや、無理だ。
社長はそういう人間じゃない。
自分だって、本来こんなことを考える側じゃない。
それでも、ほんの少しだけ羨ましいと思ってしまった自分に、柄崎はどうしようもなく居心地が悪くなる。

「……行くぞ」

社長はもう興味を失ったみたいに前を向いて歩き出している。
柄崎はその背中を見ながら、 結局、自分はあの二人みたいにはなれないのだと、はっきり理解してしまった。

それが少しだけ、苦しかった。

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