ウシジマくん呟き

社長と映画3

2026/03/20 08:54
映画館。
ロビー。
ポスターが並んでいて、
ポップコーンの甘い匂いが広がっている。
入場までは、まだ少し時間がある。
柄崎は周りを見て、
軽食売り場の方を指さす。

「ポップコーン買ってきます」

社長は壁にもたれている。

「社長も食べますか?」

社長は短く答える。

「いらねぇよ」

柄崎は少し不満そうな顔。

「えー…」

少し笑う。

「映画館といえば、じゃないっすか」

社長は興味なさそうに視線を外す。

「一応でかいの買ってきます!」

もう決めている。
柄崎はそのまま売り場に向かう。
しばらくして戻ってくる。
両手いっぱい。
でかいポップコーン。
キャラメルと塩のハーフ。
飲み物も二つ。

「買ってきました!」

少し得意げ。
社長はそれを見る。

「……多いだろ」

柄崎は笑う。

「大丈夫っすよ」

「半分社長のです」

社長はため息をつく。

「だからいらねぇって言っただろ」

柄崎はもう座る場所を探している。
チケットを見ながら。

「あ、そうだ」

少し申し訳なさそうに言う。

「席、並びだと真ん中なかったんすよ…」

「ちょっと端になるんすけど…」

社長はあっさり言う。

「別々でもいいだろ」

「映画観るだけなら」

柄崎がすぐ振り向く。

「いやいや!」

少し強め。

「社長と来たんですから!」

そのままポップコーンを抱え直す。

「一緒に観るに決まってるじゃないっすか」

社長は少しだけ黙る。
柄崎は笑う。

「ほら、並びで行きましょう」

そのまま先に歩き出す。
ポップコーンを抱えたまま。
社長は少し遅れてついていく。
ため息をひとつ。
でも、歩くのはやめない。
柄崎の隣へ。
自然と。
柄崎はポップコーンを差し出す。

「はい、社長」

社長はちらっと見る。
少しだけ手を伸ばす。
一粒つまむ。
無言で口に入れる。
柄崎はそれを見て、少し嬉しそうに笑った

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