ウシジマくん呟き
触りたい欲 5
2026/02/21 14:50空気が固まる。
突き放すような一言のあとも、柄崎の手は退かない。
胸に置いた指先が、わずかに動く。
意味のない軌跡を描くだけなのに、距離だけが濃くなる。
息が整わない。
それでも離れない。
一度だけ視線を落とし、すぐに上げる。
迷っていた目が、定まる。
前へ寄る。
椅子に座る相手との高さが近づく。
机の端に足が当たる音がしても止まらない。
「……逃げないっすよ」
かすれた声。
社長の視線がわずかに揺れる。
柄崎の手が胸から上へ移る。
首元の近くで留まる。
触れていないのに、熱だけが伝わる位置。
呼気が混じる。
白い灯りの下、互いの影が重なる。
一瞬、まぶたが下りる。
そのまま距離を詰める。
唇がかすかに合う。
強くはない。
けれど確かに触れている。
すぐ離さない。
探るようでも試すようでもない接触。
柄崎はそのまま動かず、反応を待つ。
静寂が長く伸びる。
指先が震えているのに、もう戻らない。
「……これでも曖昧ですか」
小さくこぼれる声は、冗談の温度ではなかった。
突き放すような一言のあとも、柄崎の手は退かない。
胸に置いた指先が、わずかに動く。
意味のない軌跡を描くだけなのに、距離だけが濃くなる。
息が整わない。
それでも離れない。
一度だけ視線を落とし、すぐに上げる。
迷っていた目が、定まる。
前へ寄る。
椅子に座る相手との高さが近づく。
机の端に足が当たる音がしても止まらない。
「……逃げないっすよ」
かすれた声。
社長の視線がわずかに揺れる。
柄崎の手が胸から上へ移る。
首元の近くで留まる。
触れていないのに、熱だけが伝わる位置。
呼気が混じる。
白い灯りの下、互いの影が重なる。
一瞬、まぶたが下りる。
そのまま距離を詰める。
唇がかすかに合う。
強くはない。
けれど確かに触れている。
すぐ離さない。
探るようでも試すようでもない接触。
柄崎はそのまま動かず、反応を待つ。
静寂が長く伸びる。
指先が震えているのに、もう戻らない。
「……これでも曖昧ですか」
小さくこぼれる声は、冗談の温度ではなかった。
