その中から選べばいい、と彩が言えば跡部は腕を組み眉を潜める


「ちゃんと仕事をしてくれるなら問題ない…けどな、頭のいい花岡ならわかるだろう…そう上手くはいかねぇんだよ」


『だからって私じゃなくてもいいだろ…人材確保のためにマネージャー選出でも、君たち部員の推薦で選ぶことも出来るはずだ…それこそ警戒心丸出しの丸眼鏡にでも選んでもらってくれ』


彩の言葉に跡部は目を見開く


『私が嫌いなのか、根本的に"女子"を警戒してるのかは知らないがあんな目で見られる筋合いはない』


そう、忍足…というよりレギュラー陣は根本的に女子に嫌悪感を持っている…もちろん俺様もだ

今までマネージャーをやってきた女子を見てきたから

媚をうってくる者、歓声ばかりで仕事をしない者、同じマネージャー同士蹴落とす者、貶める者

その度に自分達も対策してきたがそれでも新たな問題ばかりがやってくる

もうマネージャーなんて懲り懲りだ、誰かがそう言ってからマネージャーをとることは止め自分達のことは自分でやることになった

そんな中、宍戸達の幼馴染だという花岡という存在が出てきて、しかも懐いているのを見て忍足が警戒した


『テニス部のマネージャー事件はどれも有名だからね…知っているよ…幼馴染というだけで自分達に取り入ろうとしてるんじゃないか、というところか』


「…………」


彩は淡々と言いながら跡部を見るも彼自身の表情は変わらない


『…私はただ彼らの幼馴染なだけ…それ以上でもないしそれ以下でもないんだよ』


「幼馴染にしては随分仲良しに見えたが？」


『昔からあんな感じだったけど…久しぶりってこともあってテンションおかしかっただけでしょう。…それじゃあもう良いね』


失礼する、と今度は止められることなく跡部の横を通れば部室を後にした


「……面白い」


彩が居なくなった部でポツリと跡部が呟き、その顔には笑みが浮かんでいた