「お前は何をしているんだ」


しばらくして部室に再び現れた跡部が中を見て呆れたように彩を見る

手には箒が握られている

部室内は綺麗になり備品も纏まって整頓され

窓を開けられており籠っていた空気も一掃されている


『汚かった』


淡々と返ってきた言葉に跡部は苦虫を噛み潰したような表情になりそれを見た彩は箒をロッカーに戻し跡部を見る


『私物は触れてない…勝手にごめん』


「別に気にしてねぇよ…逆に悪あー！本当に彩だC〜!うるせぇ！」


「くそくそ！ジロー！抜け駆けすんな！」


「本当に来てたんだな」


次々と現れる幼馴染達に彩はぽかんとするも最後の宍戸の言葉に頷く


『この前亮とは話したけど根本的には久しぶりだね、亮、ジロ、岳』


元気そうで良かった、と言えばじゃれていたジローと向日もピタリと止まり彩を見て照れくさそうに笑いジローは彩に抱きつく


「本当だC…1年以上も全然話せなくて俺寂しかったC」　


「本当だぜ！中等部上がったら全然会えねぇし喋らねぇし、いつの間にか髪染めてるし！俺達嫌われたのかと思ったんだぜ！」


『それはあり得ない』


抱きついてきたジローをよろけながらも受け止め向日の言葉に返せばへへ、と向日は嬉しそうに頬をかく


「だから俺は彩に限ってはあり得ない、って言っただろ」


「Ａ〜！亮だって不安がってたの俺知ってるＣ〜」　


「ほんとだよなぁ！俺も知ってるぜ！」


「う、うっせえな」


小等部に戻ったような懐かしさに彩は目を細めると騒ぎだしたジローと岳人の頭を撫でる

自分より小さかったのに(岳はそんな大差ないが)背も伸びてたくましくなった彼等

撫でられたジローも岳人もきょとんとするも嬉しそうに笑い向日も彩に抱きつき、よろける彩を慌てて宍戸が支える


「お前ら危ねえよ！昔とは違うんだぞ？！」


「だって嬉Ｃんだもーん！」


「嫉妬すんなよ亮！」


「ちっげぇよ！」


『煩いから耳元で騒がないでくれ』


騒ぎ出した３人とこの状況でも無表情で淡々としている彩

それを見ていた跡部は意外な仲間の一面に苦笑を浮かべた