『こんにちは』


跡部が現れた事によりフェンスに群がっていた女子生徒の黄色い声が響く

そして同時に彩の存在に気づきより煩くなる

しかし跡部も彩も何も動じることなく会話は続く


「宍戸達に会いに来たのか？」


『…そう思ったんですが、これから部活のようですし後日にします』


「なにか用事があったんじゃねぇのか」


用事…その単語に彩は考え込む

跡部に言われて思わず来たはいいけれど用事はない

ただ会いにきただけだ


『………』


「………ついてこい」


彩が黙り込んだことに跡部はなんとなく察したのか彩に言えば背中を向け歩いていってしまう

突然の言葉に彩は何もせず立っているも跡部が振り返りついてこない彩に溜息を吐き再びこちらに歩いてくる


「行くぞ」


『え、あ、はい…』


彩の腕を掴み歩き出した跡部に周りがより一層煩くなるも彩も素直についていくことになった







そしてついたのは部室

扉を開ければ部室特有の匂いが出迎える
マネージャーは居ないらしいので自分達で掃除をしているであろう中は、綺麗に見えるが端に埃は溜まりタオル等も色々な所にある


「ここにいろ」


それだけ言って跡部は部室を出ていってしまい彩は手持ち無沙汰で辺りを見渡す

ここで彼等は青春をしているのか

そんな事を思いながらなんとなく手に取ったタオルを手に取り畳みはじめる


『……汚いな』


ポツリと呟いたかと思えば再び辺りを見渡し散乱しているタオルを畳みはじめる

それがあらかた畳み終えるも跡部が戻ってくる気配もないため部室の端にあるロッカー中を確認し目当てのものがあった為それを手に取り腕まくりをする


窓を開ければ遠くに朝のミーティングをしているのか跡部やたくさんの部員らしき人達が居てその中には幼馴染達の姿も見える

話を聞いているであろう表情は真剣で彩は思わず目を細める


『(青春…だねぇ)』


それを傍目に見ながら一息つくと目の前の箒とちりとりに視線を落とした