デート当日、後部に指定された場所に行けば一人の男性が立っており一つの建物に案内され待つように言われる

用意されたお茶を飲みながら持ってきていた本に目を通す


「彩」


背後から呼ばれ振り返れば私服姿の跡部がいて彩は立ち上がり跡部の全身を眺める


『私服姿かっこいいね』


「そうか？彩もセンスいいじゃねぇの」


『変じゃない？』


跡部の言葉に自分の姿を見る

今日の服装はハウンドトゥースニットワンピースで靴はスニーカー、カバンも大きなボストンバッグ1つとハンドバッグ１つ


「変じゃない。自分で選んだのか？」


『私服にも無沈着だから店の人チョイスだよ』


実は忍足から借りた少女漫画に描いてあった服で気になった物を店に行って事情を話し初デートだからと伝えたところその店員さんが親身になってコーディネートしてくれたのだ

変じゃなくて良かった、と言えば彩の荷物を持ち跡部が彩に手を差し出す


「プライベートジェットを手配してある…行くぞ」


『…プライベートジェット？』


「？当たり前だろ？」


そうだ、跡部は世界有数の会社を経営している跡部財閥の跡取りだ

色々考えると頭が痛くなると思い考えることをやめる

跡部の手を取れば満足そうに跡部は笑う


「最高の初デートにしてやるよ」












プライベートジェットに乗り沖縄まで行けばこれまた豪華な豪邸につき彩は無意識に身を固くする


『……ここ』


自分がここに居ることが不相応な気がして跡部を見ると考えている事が分かったのか苦笑を浮かべる


「俺様の別荘だ。近くにプライベートビーチもあるから泳げるぞ」


『水着持ってきてないよ』


「そんなん用意させる…そんな身構えなくていいぞ。せっかくのデートだ、楽しもうぜ」


別荘に入り部屋に案内されれば持ってきた荷物を置き跡部を振り返る


『景吾の部屋は？』


「隣だ。なんだ？一緒の部屋がよかったのか？」


『？私はそれでもいいけど』


からかうつもりだったであろう跡部の言葉に彩が首を傾げながら返すと跡部は目を見開くもツカツカと彩の元に行き体を引き寄せる


「それがどういう事かわかってんのか？」


密着した体に彩は驚きながらも跡部を見上げると降ってくる唇


『ん…』


彩は目を細め受け入れるとそっと跡部の背中に手を回す

それに跡部は驚きながらも彩の口内に差し入れ舌を絡ませる


『っ、は…』


何度も角度を変えるキスに彩は応えるように自ら舌を絡ませる


「今日は…積極的だな」


至近距離でそう言う跡部に彩は視線を下げ跡部の首筋にキスをする


『…勉強したから』


「っ、この先も勉強したのか？」


首筋にキスをされた跡部はピクと震え彩の髪に手を伸ばす


『……紙の中で』


気まずそうに言う彩に跡部は小さく笑うと額にキスをし彩の手を握る


「急がなくていい…彩のペースに合わせる」


跡部の言葉に彩は目を見開き跡部を見るとホッとしたように頷く


『…ありがとう』


「背伸びなんざ必要ねぇよ。今はデートを楽しむぞ」