彩からデートしてみたいと言われた時は驚いたが俺様自身も考えていた事だからちょうどいい

家に帰りソファに座りながら用意させたパンフレットをパラパラとめくる

近場だと誰かに見られた時面倒なことになるから遠出

この際南の島…は初デートにはハードルが高いか…

フランス…そもそも海外は重いか…

国内だと…とパンフレットを手に取ったところで自重気味に笑う


…俺様が一人の女にこんなに考えることになるとわな


それが嫌だとは微塵にも感じない程に彩のことを考えている


純真無垢な彼女


容姿だけではなく中身も重視してくれる彼女


「…………ここにするか」


彩のことを考えていると視線の先に見えたパンフレットが目につき手に取れば目を細め微笑んだ








「彩、ちょっといいか」


朝練も終わりそれぞれが教室に戻っていく中、着替え終わった彩に声をかける

振り返った彩は首を傾げると近づいてきた跡部を見上げる

跡部は部室内に誰も居ない事を確認すれば彩を見る


『どうしたの』


「今週の土日の予定はあるか？」


『土日？…ないけど…部活も休みだったはずだよね…岳達が騒いでた』


「あぁ、元々コート設備の点検でオフだ」


珍しく休みになった休日に向日達がどこに遊びにいく、等話していた


『景吾も誘おうって言ってたけど』


彩も誘われたが断った

予定は特にないがあえて言うならゆっくり読書でもしながら過ごす予定だ

そんな彩に頷くと一枚のチケットを差し出す


「一緒に行かねぇか？」


差し出されたチケットを受け取り見ればきょとんとして跡部をみる


『……景吾、これって』


「デートのお誘いだ…泊まりになるが行けるか？」


デート、と彩が小さく呟き少し考えると頷く


『…行く』


泊まりに関しては親は特になにも言わないだろう

せっかく跡部が用意してくれたチケットに彩は小さく頷けばこころなしか跡部がホッとしたような顔になり彩の頭を撫でる


「必要なものは後でメールする。親に何か言われたら俺から連絡するからちゃんと言うんだぞ」


『分かった…ありがとう、景吾』


チケットを鞄の中に大事にしまい、自分の願いを早速叶えてくれた跡部にお礼を言う


「俺様も考えていたことだからな…退屈はさせねぇよ」


ぐしゃぐしゃと髪を撫で笑う跡部に彩は頷く


『自分も、頑張るよ』


彩の言葉に跡部は首を傾げるも彩の意を決したような顔に「無理はするなよ」と返した