「じゃあ、試しに俺様と付き合え」


『は？』


「分からないんだろう？なら俺様が分からせてやる」


何故そうなる、と彩は目を見開くと跡部は彩の手を取りそっと手の甲にキスをする


「俺様直々に惚れさせてやるよ」　


　
『…ナルシスト』


思ったままに言葉にすると跡部は眉を上げる


「試しに付き合って、違うと思えば別れりゃいい」


『景吾はそれでいいのかい？』


「俺様からの提案なんだから当たり前だろ」


その言葉に彩は小さく頷く

すると跡部は彩の腕を引き寄せ抱きしめる


『っ、これも恋人がすること？』


「……そうだ。一度少女漫画でも読んでみたらどうだ…」


『…………』


少女漫画か、と考えながらなんとなく跡部に体を寄せると良い柔軟剤の香りが鼻腔を擽りすり寄る


「…それ無意識か？」


すり寄ってきた彩に跡部が苦笑しながら抱きしめる力を強めてくる


『？…さっきのキスも本来なら恋人同士がするものだったよな』


「…そうだな」


『あれもするのかい？』


「……嫌だったか？」


耳元で聞こえてくる言葉に少し考えるも小さく首をふる


『良く分からないが…不快ではなかった』


不快って、と跡部が苦笑しながら体を少し離し彩を見る

彩も視線を合わせれば近づいてくる顔

それをじっと見ていると再び苦笑し


「目、閉じろ」


『閉じるものなのか？』


「…別にどっちでもいいけどよ…」


そっと彩にキスをし、彩も目を細め受け入れる


うん、不快ではない


内心そう思っていると急に唇を舌で舐められピクと震え思わず口を半開きになると同時に跡部の舌が口内に入ってくる


『っ、は』


口内で自身の舌と絡ませるような跡部の舌に段々息が苦しくなり顔を離すもすぐにまた塞がれる

角度を変える度に響く水音に体温が上がっていく


『景っ、んん』


非難しようとするも再び舌を絡められ同時に首筋を撫でられるとゾクリとした感覚に襲われなんともいえない気持ちよさに思わず跡部の制服にしがみつく

そうしないと力が抜けてしまいそうだからだ