「なんもー？」


眉を潜めている跡部に面白い、といったように笑みを止めない忍足


「良かったなぁ景ちゃん、名前呼んでもらえて」


「うるせぇ丸眼鏡」


「にしても、鳳のお願いには驚いたけど、それを彩が承認するとは思わんかったわ」







「あの…花岡先輩に一つお願いがあるんですけど…」


『？なんだい？』


おずおずと言いづらそうにする鳳に彩は首を傾げれば意を決したように彩を見る


「名前！」


『名前？』


「名前で呼んでもらえませんか！」


「声がでかい」


ペシンと隣の日吉が鳳の頭を叩き彩を見てすみません、と頭を下げる


「す、すみません！でも、苗字じゃなくて名前で呼んでほしくて…ダメですか？」


『…ダメじゃないけど…』


彩の返事にパァァァと表情が輝きそれを見た日吉もこちらを見る


「自分も、いいですか」


『構わないよ…でも』


その言葉にわずかに嬉しそうにする日吉に忍足が笑う


「じゃぁいっそのこと全員名前呼びでええやん、な？」


『…ぁあ。それならそれでもいいんだけどさ…』


「「「「？？」」」」






『私、亮達以外…苗字しか知らない』







「あの時の跡部、おもろい顔しとったなぁ」


「それはお前もだろ」


あの後、向日とジローが大爆笑し、怒りに来た看護婦によって落ち着いた後、改めてそれぞれ自己紹介をしたのだ



『亮、ジロ、岳、長太郎、若、崇弘、侑士…景吾』


確認するようにそれぞれの顔を見ながら名前を言えばそれぞれ嬉しそうに頷く

最後に跡部を見て名前を呼べば一瞬固まるもすぐに頷く


「これからはそっちで呼べよ…俺も名前で呼ばせてもらうぜ」


跡部に名前を呼ばれ素直に頷き全員を見渡す


『自分のことも名前で呼んでくれて構わないから』


それから彩先輩、彩と口々に言えば彩も『改めてよろしく』と頷いた