彩のマネージャー業が始まり最初こそ手間取る事が多かったが最近では慣れてきたのかレギュラー陣だけでなく準レギュラーや平部員の分のドリンクやタオルも用意できるようになった

跡部にはレギュラー陣だけでいいと言われたが頑張ってるのは皆同じだと伝えたのだ　　


タオルもドリンクもあらかじめ前日にやっておけば次の日に出せる

空いた時間は備品の整理や部室の掃除をしたりして時間をつぶす

誰かと話す隙なく忙しなく動いている彩

今は部室でボール磨きをしてる最中だ　　


「ねぇ、彩働き過ぎじゃなＥ？」


『ジロ休憩かい？』


「んー〜…」


ある日、空き時間が出来た為部室で備品整理をしていると慈郎がやってきて心配そうに顔を覗き込んでくる

彩は手を止め慈郎の頭を撫でる

どうやら彩の様子を見ついでにサボりにきたようだ


『いや、空き時間もなにかしてないと落ち着かないんだ』


「でも顔色悪いよ？」


『？』


本気でわかってないのか彩は首を傾げる　　

蕁麻疹も出てないことから嘘ではないことは分かるが慈郎は心配そうに眉を下げる


「無理しちゃダメだC」


『大丈夫だよ。ジロも少しここで休んでいくかい？』


彩の言葉にパァと表情が明るくなった慈郎は嬉しそうに頷き彩の隣に座り丸まるように横になると寝息をたてはじめた

寝ている慈郎の髪を撫でればボール磨きを再開した


数十分後、ボール磨きを終わらせると慈郎を起こし戻るように言う


まだ居たいという慈郎に内心苦笑を浮かべ背中を押そうとするも急に立ち眩みのような症状に襲われその場にしゃがみ込む


「彩？！」


『ごめん、立ち眩み…少し休んでから』


戻るから、と手を上げ立ち上がろうとするも力が入らず視界がぶれてしまい座り込んでしまう


彩！と慈郎が泣きそうな声が聞こえてきてまずいな、と思ったのを最後にブラックアウトした