「彩、すげぇな」


『は？なにが』


宍戸がポツリというと彩が本気で分からないという顔で見返す


「花岡が助けた人はな氷帝生徒、氷帝に通ってる家族経営の店、お得意様、OB、他にもあるがな、周りに回って全校生徒が花岡の存在を知ってるし、功績は知れ渡ってんだよ」


実際に助けられた在校生も数しれずだ


「それに半年前、不良に絡まれた後輩男子までも助けたことがあるな？」


『それが』


なに、と言おうとするもその前に鳳と日吉が出てきて彩はきょとんとする


「花岡先輩、あの時はありがとうございました！俺、１年の鳳長太郎です」


「日吉若です…ちゃんとお礼を言うのが今になってしまいすみません」


『あぁ、あの時の…二人共大きくなったね』


「覚えててくれたんですか？！」


『同じ銀髪だし、独自の雰囲気の持ち主だから覚えていたよ』


キラキラとした目で見てくる鳳に彩は思わず後ずさる


「あの、俺達、花岡先輩がマネージャーしてくれたら嬉しいです！な、日吉！」


「そう、ですね。先輩なら嬉しいです」


後輩達の直球の言葉に彩は困ったように眉を下げる


「後輩の純粋なお願い彩ちゃんなら聞いてくれるやろ？」


背後から訛のある声が聞こえてきて思わず肘打ちが炸裂し忍足が崩れ落ちる


「手荒いで…」
　

「彩と侑士いつの間にか仲良くなったよな」


『岳、それは気のせいだよ』


慈郎が泣いた日、忍足は３人を呼び出し頭を下げたと後から宍戸に聞いた

３人とも自分達を思っての言動だと分かっている為許したとも

彩はそれを聞いた後『良かった』とそれだけ言った


「おい花岡、やってくれるな？」
　　

跡部の言葉に彩は少し考えてからテニス部に顔を向けてから跡部を見上げる

そしてちょっと、と跡部を呼び端の方に移動する


『…条件がある』


「条件だと？」


ピクリと眉を動かした跡部に彩は頷く


『それを聞いてくれるなら引き受ける』


「…言ってみろ」


『一月に１、２回休みをもらう』


「あ？」


『病院に行かなきゃいけないんだ…あらかじめ日程は分かるから問題はないようにする』


「わかった」


跡部は頷き彩も頷けば跡部に手を差し出す


『マネージャー業なんてやったことはいからご指導よろしく部長』


「ああ」

　
跡部も彩の手を握ると同時に背後からジローと向日が彩に飛びつきそのまま跡部を巻き込み倒れ込んだ