「…彩」


意識が浮上しゆっくりと目を開けるとそこには自分の髪を撫でながら小さく歌を口ずさんでいる彩の姿

膝枕をしてくれているらしく視線は高いが手を伸ばせば彩がリムルに気づいたのか微笑む


『起きましたか？』


「俺は…」


『まだ寝ててください…リムル様、倒れたんですよ…多分過労だって…自覚なかったんですか？』


起きようとするが止められ額に手を当てられればその冷たさに気持ちよさそうに目を細める


「…過労」


『…私か調査に出てから働き詰めだと朱菜様が言ってましたよ』


疲れは感じてはいたがまさか倒れるほどまでとは…


「…調査は終わったのか？」


『はい…戻ってきたら紫苑様やゴブタ達がリムル様が倒れた!って飛んで来たんですよ』


急いでリムルの家に行けばちょうど朱菜がリムルの額に濡れタオルを置いている所で彩の姿を見てバトンタッチしたのだ

その際、朱菜が魘されていると伝えてくれたのだ


膝枕でもしてあげてください、と言われた時は何故、と思ったが膝枕をした瞬間に魘されなくなった為、思わず朱菜と笑った

朱菜が家から出ていき手持無沙汰になった為、リムルの髪を撫でていた

昔、聞いた音楽を小さく口ずさんでいると膝のリムルが起きて今にいたる


『…悪い夢でも見ましたか？』


「…………皆が、彩が居なくなる夢…暗くて、寂しくて…俺が皆に手をかけたような…夢」


彩の問に一瞬答える事を躊躇うもポツリポツリと言えば彩は一瞬髪を撫でる手を止めるもすぐにまた撫ではじめる


『大丈夫…ただの悪夢ですよ…私も皆もリムル様の近くにいます』


それに、と続ける


『たとえリムル様が強くても、圧倒的な力の差だとしても…刺し違えても一緒に逝くよ』


クスクスと笑いながら言えばリムルは目を見開くもすぐに破顔する


「…なんだそれ…」


『ふふ…まぁ、そんな事にはならないから大丈夫だよ…なったとしても全力で止める…リムル様も知ってるでしょう？皆リムル様が大好きなんだよ』


だから大丈夫、と髪を撫でながら言い聞かせるように言えばリムルは小さく頷き目を閉じて寝息をたてはじめた