「そ、そうだったな」


「あれ？リムル様、手になにか…」


「え？」


あははと笑うリムルに何かに気づいた紫苑が手元を見て口を開けばリムルは自身の手を見る

そこにはおそらく書類を書いたときについたであろう赤い塗料

それを見た瞬間に大袈裟な程にビクつき先程の悪夢が思い出され顔を青くする


「リムル様？」


「やはり少し休まれたらいかがですか…顔色も悪いようですし…」


「…あぁ…悪い、少し休んでくる…」


全員が顔を真っ青にしたリムルを心配し、リムルもこのままではマズイと思ったのだろう席を立つ

しかし、立ち上がった瞬間、目の前が歪み視界が反転する


「リムル様っ」


最後に見たのは驚き自分の名前を呼んだ朱菜の顔だった

















目を開けると再び暗闇が広がる


また、一人


誰も居ない空間


言い知れない程の恐怖心が溢れてくる


頭を抱えその場に座り込む


今までいた…仲間達といた空間が現実なのか


それともこっちが現実で都合の良い夢を見たのか


分からない


どこが現実で、どこが夢なのか


俺はどうしちゃったんだ…


目の前が、空間がぐるぐると回る


気持ち悪い…


口元に手を当てる




…わたしの可愛い人形…


…歌…？


不意に聞こえてきた声に顔を上げるも何も見えない


…綺麗な帯をあげましょう…


優しい声…それに温かい…この声は…


ポゥ、と一気に明るくなる視界


それが眩しくて目を細めた