「こんにちは」

「あ、真砂子！久しぶ「ナル、いらっしゃるかしら」

カランと音をたてて扉を開くと麻衣が出迎えたが真砂子の言葉に遮られる
いつもなら怒るところだが真砂子の雰囲気に思わず押し黙る

「なんでしょう。僕は忙しいのですが。」

「ええ、時間は取らせませんわ」

顔を出したナルの言葉にニコリと笑う真砂子にナルもなにかを感じたのか珍しく押し黙る

「どうかしましたか」

その様子にリンが口を開けばチラリとリンを見てすぐにナルを見る

「ナル、彩の事でお話がありますの」

「彩？しばらく休むと昨日リンの方に連絡がきた」

「あぁ、リンさんに来たんですのね。」

まぁ、考えれば当たりまえか、と真砂子は納得する

「それで、彩についてとは」

「ナル、昨日の夕方頃どこにいらっしゃいました？」

「昨日は外出してましたが」

「誰と？」

「……」

真砂子の問に押し黙るナル
そんなナルを真砂子は睨みつける

「わたくし、ナルに伝えましたわよね。彩を悲しませるな、と。泣かせるなんて言語道断ですわ」

「え、彩泣いてたの…？」

「ええ。」

頷いた真砂子に麻衣は顔を青ざめナルはしくった、というように頭を抱える

「だからいったことではない」

リンがため息を吐きどこかに電話をしはじめる

「滝川さん。例の光景を彩に見られていたようです。ええ、原さんがいま事務所にきて怒ってます」

電話越しに慌てた声が聞こえてくる
真砂子はその様子に面々を見渡し

「どういうことですの？説明してくださるわよね?」













《彩大丈夫？》

『問題ない』

彩はというと受けた依頼を次々とこなしていた

それこそ怒涛な勢いで

《全然休んでないよ。せめて水分とってよ。熱中症で倒れるよ》

『移動中休んでるでしょ。それに、次で最後よ』

はぁ、と息をつきながら歩いてると銀はむぅ、と唸る

そんな銀を見て罪悪感を抱くが何かをしてないと気が紛れないのだ

あの時の光景がフラッシュバックし思考が悪い方向にしかいかなくなる

《っ、彩!!危ない!》

銀の叫びにハっとし前を見るのと同時に衝撃がお腹に襲い何かに叩きつけられる

『っ、ぁ』

しくった、と思ったと同時に銀の吠える声が聞こえ目の間が真っ暗になった

《彩？彩？！》