このときばかりは自分の直感を呪いたくなった
　
『なんで…』


少し離れた場所を二人が並びながら歩いている

南はものすごい笑顔でナルに話しかけ、ナルも微かに笑って話してるようにも見える

その光景から目をそらせずにいると南がなにかに躓きナルに抱きつくような格好になる

『っ、』

ふとナルの肩越しに南がこちらを見て少し驚いたようにするがニヤリと笑ったのが見えた

とくにナルも振り払うこともせず再び体制を整えれば歩いていってしまう

傍から見たら仲のいい恋人同士に見えるだろう

彩はただ立ち尽くしているしかなかった




『…真砂子』


真砂子に会いたい


そう思ったのは立ち尽くしてどれくらいたってからだろう

試しに電話をしたが仕事中なのか留守電に繋がる　

混乱する頭で彩は無意識に歩いていたらしく公園に辿りついた


『ここは…真砂子の依頼で来た…』

懐かしい、と辺りを見渡す

ベンチに座り前を歩いていく人達をぼーっと眺める

ときに恋人同士だろう歩いていくのが見える

私もナルと歩いたなぁ…

『……』


何故、二人が一緒に…

私のこと嫌いになったの

嫌だ、離れたくない、でも、どうしたら…

どうしようもないの…?

ナル

彩は目を閉じ俯いた







《彩!!》

『っ、…ぎ、ん?』

急に大声で呼ばれハっと少し顔を上げればどれだけ時間がたったのか、辺りは暗い
そんな中、銀が自身の足に手をかけ心配そうに見ている

「彩」

別方向から声がかかりそちらを見ればこちらも心配そうに見ている真砂子の姿が

「電話くれましたでしょう?気づいたときにかけ直したんですが出なくて、その時に銀が彩泣いてるって、慌てて来ましたの…どうしたんですの、こんな時間にこんなところで』


《ホントだよ。どうしたのさ》


『真砂子…銀』


「はい」

《ん?》

会いたかった人物が目の前にいて呼びかけに優しい声音で返してくる二人に

『〜っ、もう、分からないのっ、私、どうしたらっ、』

一気に表情を歪め涙を溢れさせた彩に真砂子と銀は驚く


「《彩⁉》」