彩はその後、しばらく入院することになり代わる代わるお見舞いに来てくれた麻衣達に謝罪とお礼を伝えた
麻衣には抱きつかれ、ぼーさん達には少し怒られた後に頭を撫でられた


問題だったのは真砂子で、病室にきた瞬間に怒った表情で頬を叩かれて泣かれてしまった


一緒にいたナルとリンは真砂子の様子に目を丸くし、慌てた彩と銀は真砂子を抱きしめ彩は涙を浮かべ必死に謝った


相当不安にさせていたらしくその日は真砂子が離れようとせず彩と同じ病室で泊まることになった


『…辛い思いさせちゃったね』


ベットで泣きつかれて寝た真砂子の髪を撫でながら言えば真砂子の横に座っていた銀は頷く


《瀕死状態の彩を見てからの取り乱しようはすごかったからね…》


そっか、と真砂子を見る彩の表情は柔らかい

もう二度と真砂子や麻衣を泣かせまいと誓い布団を肩までかけた







翌日、再度真砂子に謝罪を言ってから別れ念の為銀には真砂子についていてもらうことになった

静かな病室に彩は窓の外に視線を向ける


「彩、調子はどうだ？」


『…ナル、大丈夫だよ』


ガラガラと開いた扉から入ってきたのはナルで彩が顔を向ければベット脇にあった椅子に座ったナルと目が合い微笑む


『…ナルもごめんね…心配かけて、危険な目に合わせちゃって…』


銀と同じ事を言ってくる彩にナルは首を振る


「僕は問題ない…仕事に危険はつきものだ。…彩が目を覚まして本当に良かった」


彩の髪を撫でながら言えば擽ったそうに笑う彩

彩が目の前にいる事実にナルは安堵し怪我に触れないよう力強く抱きしめる


『…ナル？』


「本当に、良かった…」


わずかに震える声に彩は目を見開くと涙を浮かべぎゅうとナルの背中に腕をまわした


『ごめんね』


本当に私は幸せ者だ
こんなにも想ってくれる人達が居てくれて
こんなにも愛する人が居てくれて


出会う前は任務で命を落とすことになんの躊躇いもなかったというのに、今は離れたくない人達がたくさん居る

この人達と離れたくないと思ってしまう



ゆっくりナルから身体を離すと頬を撫でられ自然と顔を上げれば目が合いギュッと手を握られそっと近づいてくるナルの顔に彩はそっと目を閉じた

久しぶりのナルの温もりに彩は涙を零した