「彩ー、そんな怒らないでよー」

『知りません!』

《まぁまぁ、》


事務所に向かう途中で合流した銀は怒ってる主人に何事かと麻衣に尋ねれば事の全てを教えてもらい納得した

「よーっす」

「あんた達遅かったわね」

「お邪魔してますわ」

「おかえりさんどす麻衣さん、彩さん」

『あ、皆いらっしゃい』

《真砂子譲〜》


事務所の応接間にはすでにいつものメンバーが揃っており銀は一目散に真砂子の元に駆け寄り撫ででもらっている

麻衣がぼーさんのところに駆け寄り


「わーん、ぼーさん、彩が怒っちゃったよぉ」

「お、珍しい。麻衣なにしたんだ」

彩はその光景に息を吐きお茶を淹れに向かう

ことのあらましを皆に話しているようだ

「そら、麻衣、お前が悪いぞ」

「えー、でも皆そう思ってるでしょ」

「思ってても紹介の仕方ってものがあるでしょ」

ぼーさんの指摘に麻衣は頬を膨らませ綾子と真砂子にはため息をはかれる


「いいか、麻衣。紹介するのはいいことだと思う。けど、この子美人!って紹介しても紹介された側はそれで終わりなんだ。人と柄も分からない。俺たちはもう彩という存在を分かってるからいいけど人によってはイジメの対象になりかねない。」

『…っ』

ぼーさんの言葉が身にしみて聞こえてくる

"あのこ性格絶対悪いよね"

"ちょっとキレイだからって調子乗ってんじゃねぇよ"

"もうどれくらいの男と遊んでるの?いいよね、美人さんは、モテモテで"


昔の事を少し思い出し彩は懐かしい、と目を閉じ小さく笑う

「捻くれてる奴なんかは麻衣が彩を妬んでわざと紹介してきたんだ、なんて解釈するやつなんかもいる」

「私、そんなつもりは…」

「分かってるって。ただ彩もそれが分かってたんだろな…もう一度謝っとけ」

「うん…」

自分でやったこと、彩の態度を思い返したのかシュンと落ち込んだ麻衣の頭を撫でるぼーさん

彩は一息つき飲み物を持ち応接間に向かう

「彩!本当にごめん!ちゃんと考えてなかった」

応接間に入った瞬間頭を下げてきた麻衣に彩はお茶を机に置き頭を撫でる

『もういいよ』