彩が瀕死の状態で病院に運ばれてから１週間


あれから彩は峠は超えたものの目を覚まさないでいた


入院してから毎日誰かしらお見舞いにきて彩に話しかけているが反応はなく悲しそうにするのと同時にナルを気遣う言葉をかけていく


ナルは軽く返事をするだけで片時も離れないナルの姿にリンに話がいったのだろう


「………」


「ナル、少し休んでください」


ずっと彩の側から離れないナルにリンが声をかけるが何も返事はなくただ、彩を見ている


「…せめて何か食べなさい。そんなんじゃ彩が起きたとき倒れてますよ」


リンが袋をナルに渡せばその中に食料が入っている


「…怒らないのか」


やっと口を開いたと思ったらそんな言葉でリンは眉を上げる


「……ご飯を食べないことを怒ればいいですか?休まないことを怒ればいいですか?…それとも彩を忘れたことを怒ればいいですか？」


リンの最後の言葉に反応したナルはリンを見上げる


そんなナルに苦笑を浮かべる


「ナルが記憶を失ったことで彩は傷ついたと思いますよ…あなたのことです、落ちたとき彩の事でも考えていたのではないですか?それでも彩はナルを想ってるから離れなかったし助けた…ナルが彩を大事に思うように彩もナルを大事に思ってる…そんな二人を私は怒れませんよ…まぁ、今回は無茶をした彩には些か怒っていますが。」


だから


「目覚めた時、顔色がいい状態で側にいてあげなさい」


彩にとってそれが一番嬉しいだろうから


僅かに弱っているナルの頭を撫でればナルは一瞬固まり、すぐに袋の中の食料に手を伸ばした


食事をとったあとナルは彩の手を握りベッドに顔を伏せた


リンはそんなナルの肩にタオルケットをかければ離れた場所でパソコンを開き仕事をはじめた
















ここは…



私はなんで…




あぁ、そうか




…ナルを庇って壁に激突したんだ





また銀に怒られるなぁ





ナルは大丈夫だったかな……




また、会えるだろうか…





ポゥと手が温かい





心地のいい温かさ…






もっと感じていたい…