吹き飛ばされた彩が頭を抑える


『っ、イタタ…ありがとう銀』


黒い犬が消え静寂が戻る
彩がゆっくり起き上がる


《大丈夫！？》


『大丈夫。…一度ナル達の所に戻ろう…』


彩がそう言い足早に階段を降りると先程の音を聞いたのだろう、ちょうどナルが扉を開けたところだった


「彩、いったい何が」


『話は後！ひとまず出まっ』


ナルの身体を押し外に出そうとした所で背中に悪寒が走る

ﾆｶﾞｻﾅｲ


《彩！》


『っ、ナルごめん！』


ドンとナルの背中を突き飛ばすと同時にポケットから写真立てを驚いてるナルに押し付ける


「彩？！」


『これお願い！皆…ごめんね』


ナルが最後に見た彩は困ったように笑った姿だった


バタンと再び閉まってしまった扉にナルが慌てて開けようとするがびくともしない


「「「彩！」」」


外から声をかける返事は帰ってこなかった


ナル、大好き


一瞬、笑顔でこちらに話しかける彩の姿が脳裏に浮かび、同時に頭痛が走る


「っ、(なんだ、今のは…)」


痛みは一瞬でナルは彩に押し付けられた写真立てを見る


「これは…」


「ナル！今彩の声が…それは？」


今しがたあった出来事をリンに伝えれば驚きで目を見開くリン


「すぐに調べましょう…ナルと滝川さんはここに。皆さんは手伝ってください」


彩の身に何かが起きてることは確実で取り乱している麻衣達を少し離さなければならないと判断したリンはそう伝えれば全員が頷き動きだした