その後、ずいぶん飲んだ彩は自分の乗っている船の自室に向かっていた


『あいつら、まだ飲んでたな…』


先程の居酒屋で自分が出るときにはまだいたから…きっといるだろう…


『なんで、思い出したんだろ…さっさと寝よう』


さっさと寝たら明日には忘れてる…
私には縁のない感情…






「おうおう、彩。こんな時間まで飲んでたのかよ？」


自室に帰ろうとしていた矢先に後ろから声がかかる


…嫌なのに引っかかった
一瞬舌打ちをしそうになるもそれを飲み込み振り返り


『ドナルフ船長…珍しいですね。こんな時間に起きてるなんて』


「ひゃっひゃっ、俺はさっきまで狩りしてた」


狩り、という言葉に彩はビクリと体を震わせた


『(また“仲間”がいなくなった…)そうですか…今度は誰を？』


そう、狩りとはドナルフ船長のストレス発散で行う殺生のこと…しかも、この船の乗組員を…


「ひゃっ、ひゃっ…明日になれば分かるぜ～。じゃ、いい夢見ろよお姫様」


ひゃっ、ひゃっと独自な笑い方をしながら去っていくのを彩はただ睨んで見ていた