しばらくしてふいに彩と真砂子が顔を上げた


｢彩、式が戻ってきました。あちらも無事なようです｣


一応念のためリンの式に見てきてもらい一同は安堵の息を吐く


『そか、よかった……』


｢え。何も見えなかったけど…｣


｢…それが式ですの？｣


真砂子がリンに顔を向ければリンが少し驚いたようにこちらを見る


｢気配をご覧になれますか？｣


｢ええ…分かりましたわ。この家にいた霊がとても空虚だったわけが。子供達やナルに憑いていたものも家をさ迷っていたものも、どの霊もあんなに空虚な感じがしたのはあれが何者かの使役霊だからですわ。｣


『………………』


｢あの霊は自分の意思で動いていません。｣


真砂子の言葉に麻衣が愕然とし彩は頷く


『そういうこと…納得…。それじゃ三六塚の徐霊しなくちゃね…ま、今は綾子も麻衣も真砂子もリンさんも先輩も僅かな時間だけど少し休まなきゃ』


彩が立ち上がり軽く伸びるとそれぞれが頷き毛布を取り出しはじめる


｢彩は？｣


『私は眠くないから大丈夫です…気にしないで休んでください。多分ぼーさん達も休んでると思いますから』


安原の問いに彩が答え麻衣と真砂子、綾子が寄り添うように壁に寄りかかって目を閉じる

彩は３人の前にしゃがめば印を組みポツリと呟く


｢なにを…｣


『ん？あぁ、ただ安らかな眠りをと思って…先輩にもかけます？』


｢あー、じゃあお願いしようかな。｣


分かったと頷き安原の前に行けば同じように印を組み小さく呟く

するとすぐに寝息が聞こえてきてふぅ、と彩は立ち上がりリンを見る


『リンさんは？』


｢いえ、大丈夫です。私も起きてますから…ところで彩、無理をし過ぎではありませんか？｣