彩がSPRでバイトをする事になってから早一ヶ月はたったある日、自らの仕事で殆ど顔を出していない彩の元に電話が来たのは三日前


『も、しもし渋谷さん？ど、どうかしました？』


｢今大丈夫か？仕事の依頼がきた。手伝いに来れるか？…というか今走ってるのか？｣


彩は後ろから追いかけてくるモノから逃げるように走りながら答える。

少し息切れしてるのが分かったのかナルは僅だが心配そうな声音になる。


『今こっちの仕事でちょっと、ごめんなさい。詳細と場所はメールしてくれますっ？都合はつけるのでっ』


あはは、と呑気に笑いながら走ってれば横から来るよーと声がかかる

おなじみ銀の声だがナルには聞こえない


｢分かった。邪魔して悪かったな｣


『いやいや、連絡ありがとうございました。』


その言葉を最後に電話を切ればポケットに携帯を突っ込み変わりに呪符を取り出す


｢彩！｣


『分かってるって！』


彩は急ブレーキをかけその勢いのまま振り返れば向かってくる異形に対し呪符を投げつける


『汝、我の道塞ぐモノなり…急急如律令！』


呪符が異形に当たり彩の言霊に悲鳴のような声を上げそのまま消えた


『終わったっ、たぁあ！？』


｢彩っ?!大丈夫?!なにしてるの?!｣


安堵したと同時に彩は転んだ

銀が慌てて駆け寄れば苦笑しながら理由を話した

つまりはこうだ。
全力疾走してたのに急ブレーキをかけその勢いで振り返るもそのまま止まれず後ろからひっくり返ったと…


｢…もぉ｣