-
生きている実感もないまま病院に辿り着いた俺たちは、バリケードで囲われた敷地を前に立ち尽くす。自衛隊のテントがあり、出入口はそこだけだ。
-
伏黒
感染者じゃないかチェックしているらしい
-
悠仁感染者だったら?
-
テント前では陸軍兵が入場者を目視確認しているが、明らかに様子がおかしい人間がいた。怪我をしているのか出血が酷く、自衛隊が入場をはじくと血相を変えて掴みかかる。
揉めているうちに怪我人は豹変して来て、兵士に噛み付こうとした為、刺股で抑えられ建物の陰に連行された。その後、乾いた大きな音が一発。 -
脹相
感染者に噛まれると感染して、すぐに変異するようだ

-
そんな一連の流れに呆気にとられていると、見知らぬお兄さんが教えてくれた。
-
悠仁でも、ここ病院だろ?!隔離するとか、なんとかやり方がさ、殺したんだろ、あれ……
-
脹相
感染すると致死率は100%らしいからな。それよりも無事な人間の安全が最優先だ

-
悠仁そんな……
-
自衛隊のテントへは長い行列が並ぶ。避難者も居るみたいだ。俺達は行列に並び、順番を待つ。チェックはテント前やテント内で2回ほど受けた。身分証を求められ、学生証の確認が終わると身体検査をされ、刃物や武器になるものは置いて行けと言われた。
俺は仕舞ってあったナイフを出そうとすると、同時にチェックを受けていた先程のお兄さんが何やら兵士と言い合いを始めた。 -
脹相
噛まれていない!弟は感染者が割ったガラスで怪我をしただけだ、治療をして欲しいだけなんだ

-
お兄さんの後ろには俺たちより少し歳上くらいの男性が二人続いていて、一番若い、弟?らしき人が足を怪我してもう一人が支えている。
-
兵士は頑なに怪我人はダメだと首を振る。お兄さんは掴み掛からんばかりに抗議をするが、聞き入れられないようだ。
-
脹相
包帯や消毒液だけでも、分けては貰えないのか?

-
脹相
手遅れだと!?感染者とは接触していない、ただの怪我なんだ!!

-
悠仁釘崎、伏黒、先行ってて
-
伏黒
?
伏黒津美紀の病室にいるからな -
悠仁分かった!
-
俺はお兄さんと兵士の間に割って入り、お兄さん達をテントの外に押し出した。
-
脹相
何をするんだ!このガキ!

-
悠仁俺、中に入れるから物資を分けて貰って戻ってくるよ!何が必要?
-
脹相
信用出来るか

-
悠仁信用……ん〜あー……これ、
-
俺は仕舞っていたサバイバルナイフを持っていた分だけ取り出した。
-
悠仁どうせ自衛隊に預けるなら、お兄さん達に。必要だろ?
-
壊相
兄さん、信じてみようよ
-
怪我した弟さんを支えていた人が、彼に声をかける。三人兄弟らしい。長兄らしきお兄さんは、ナイフと俺を見比べる。
-
脹相
……どうして

-
悠仁せめて困ってる人を助けたいんだ……
-
脹相
……分かった。俺達はそこに停めたバンに乗っている

-
悠仁おっけ!戸締りして待ってて!
-
俺は再び行列に並び直し、伏黒の姉貴の病室へと向かった。
タップで続きを読む