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釘崎は手の馴染みがいいと、テナント工事中の工具からハンマーを拾い上げた。伏黒は、あまり得意じゃないと言いつつとりあえず金属バットを。俺も獲物はちょっとなと思いつつサバイバルナイフを何本か拝借した。
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悠仁大体相場は頭が急所で、それ以外を傷付けても動き続けるんよ
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伏黒
……頭を潰すのか……
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釘崎
外の様子を観察しておきましょ、まだ機動隊とか居るみたいだし
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俺たちはフロアに居た大人達に引き留められたが、なんとかビルを1階まで降りていく。外では人々の悲鳴と、機動隊が対応する音、警察だろうか、発砲音も聞こえる。
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悠仁日本じゃないみたいだ……
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伏黒
お前、大丈夫か?
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悠仁え?うん……
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機動隊は警棒で凶暴化した人間を殴っていた。感染者は痛みも無いのか、力任せで機動隊の盾すら這い登ろうとする。前列の機動隊の何人かが崩れ、血飛沫が上がったあたりでマシンガンの音が響いた。
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マシンガンは感染者の頭を撃ち抜き、一旦は沈静化する。
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釘崎
やっぱり頭ね……しかも感染者は意識も無いみたい、本当にゾンビなんだわ
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悠仁本当に?意識ないだけで、特効薬とかあればさ
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伏黒
特効薬待ってる間に殺されるな……
大丈夫か、虎杖? -
さっきから伏黒がしつこいのは、俺が不安な顔をしているせいだろうか。
ふと、一瞬静かになった表が騒がしくなる。 -
釘崎
マシンガンの音でもっと集まってきたみたい、今のうちに、逆から出られそうよ
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悠仁機動隊の人たちは……
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伏黒
助けるなんて無理だ、今は自分の無事を優先して、人を助けたいならそれからだ
いいか虎杖 -
俺は頷くので精一杯だった
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機動隊が居ない方の出口から外に出る。ヘリが落ちたせいで火災が起こっている。街頭のモニターも消えて、あちこちで悲鳴が聞こえる。
俺たちは感染者に見つからないようにビル伝いに病院へと向かう。バスの運転手は血まみれで倒れているし、駅中の方が逃げ場はなしい人も多く地上の方が安全だろうという判断をした。病院へは歩けば30分くらいで着くだろう。
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なんとか感染者と落ち合わないよう気を付けていたが、それはやはり無理な話だった。
先頭を歩いていた伏黒が、角から表れた感染者と対峙する。感染者は伏黒が持っていた金属バットに噛み付いて膠着している隙に釘崎がハンマーで頭を潰した。 -
そんな光景をしんがりで見ていた俺は一瞬惚けてしまう。我に返ったのは、釘崎に名を呼ばれたからだ。反射的に後ろからきた感染者の腹を蹴り上げ吹っ飛ばす。
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伏黒
それじゃダメだ!
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悠仁(何がダメかなんて分かってるよ!でも!)
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感染者は若い女性だったが俺の蹴りを食らってもこちらに襲いかかってくる。大きな飾りが付いたピアスが片方取れている。服装を見れば今日は彼氏とでもデートだったかのようにオシャレをしているのが分かる。そこまで見て、また俺は躊躇う。
釘崎と伏黒の声が聞こえる。 -
俺はサバイバルナイフを握り直した。
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伏黒
虎杖、行こう
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釘崎
留まってるとまた鉢合わせるわ
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悠仁…………うん
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