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数ヶ月前からかな。世界が感染症で騒ぎ出したのは。また何年か前のウィルスみたいなやつだと思っていたのに。
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それはあっという間に日本にも入ってきた。日本で第一感染者が確認されたのなんて数日前だ。
それが今じゃパンデミック状態だ。 -
俺は全寮制の高校に入学した。元々は仙台に居たんだけど、祖父が亡くなり天涯孤独になった所を五条先生が拾ってくれた。
学び舎や寮はまるごと東京の田舎の方の山奥にある。今日は休みだったから同級生と街で遊んでたんだ。 -
今、俺たちは商業ビルの高階層に逃げて来て、通りを見下ろしている。俺は思ったことをすぐ口に出すタイプだから思わず呟いてしまった。
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悠仁ウォーキングデッドじゃん
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伏黒
洒落なんねえからやめろって
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冷静な友人である伏黒は俺の呟きを窘めた。
下界の様子は正にウォーキングデッド。ウィルスで凶暴化した人間が未感染の人間を襲い、食う。そんなグロテスクで地獄みたいな様子に、同じフロアに逃げてきた他の人たちが悲鳴をあげる。 -
釘崎
まあ、でもそんな感じじゃない。これからどうするか考えないと
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自称紅一点な釘崎も悲鳴すら上げず今後のことを考え出す。肝が据わっているなあ、と感心してしまう。
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伏黒
情報が足りない、あれがどういうウィルスなのか、普通なら警察なり自衛隊なり介入して救助されるのを待つべきだろ
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その時、ドォンと花火よりも大きな爆発音がして、自衛隊のヘリが街の中に落ちていくのが見えた。
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釘崎
どうやら普通の状況じゃないようね
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伏黒
ケータイも通じない……
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悠仁えっと、こういう時はホームセンター!ホームセンターで武器になりそうなのとか身を守れるやつを探すんだぜ
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伏黒
ホームセンターまでどうやって行くんだよ
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悠仁それはえっと……
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釘崎
このビルに入ってるテナントからいいもの探すしかないわね、で目的地は?
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伏黒
普通なら救助を……
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悠仁高専だろ、あそこに戻んねえと
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伏黒
…………
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釘崎
なによ、なんか他にある?
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伏黒
姉貴が、都内の病院に入院していて
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悠仁姉ちゃんいたの!?
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釘崎
何にも言わないんだから!病院ならある程度安全でしょ、病院寄って高専へ帰る、これでいいわね?
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悠仁異論なし
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伏黒
すまん
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俺たちは返事の代わりに伏黒の肩をそれぞれ叩き、武器になりそうなものを探し始めた。
こうして長い帰路の旅が始まった。
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