-
-
悠仁の事故があってからは、しばらく妊娠の兆候が見られなかった脹相。年齢も重ね、いよいよ10人出産は難しいだろうかと思われた矢先、再び子宝に恵まれる。
-
長男
お母さん、お腹大きいねえ
-
脹相
双子なんだそうだ、お前のクラスにも居るだろう?
双子のお兄ちゃんだな
-
長男
双子!男の子かな、女の子かな
-
家族団欒のひと時。脹相は日毎に大きくなる腹を抱えソファーで寛いでいると子供たちが腹を撫でにくる。
次男、三男もお兄ちゃんに続き腹を撫でると口々に男の子がいい、女の子がいい、と話し出した。 -
四女
にーにだっこ!
-
長男
いいよ〜おいで〜
-
四女は言葉を覚え始め、走り回るようになった。一番上のお兄ちゃんが大好きで後ろを着いて回り、兄もそんな妹が可愛いようで、よく2人でくっついている。
-
皿洗いをしていた悠仁がキッチンから戻って来た。
-
悠仁脹相、身体大丈夫?
-
脹相
ありがとう、大丈夫だ

-
悠仁は身重の脹相を常に気遣う。子供たちには、「お父さんの一番大事な人はお母さんなんだよ、でもお父さんとお母さんの一番大事な人は子供たちだよ」と教えているだけあり子供たちの前でも脹相への愛情表現を惜しまない。
-
悠仁風呂入れる?俺が入れようか?
-
脹相
今までも一人で入っていただろう?大丈夫だから、子供たちを頼む

-
脹相は少しだけ見えた悠仁の下心に苦笑しつついつものルーチンを頼む。
脹相は強靭な腹筋ゆえ、普通の妊婦より腹も目立ちにくかった。だが今回は二人分膨らんでいるので、悠仁は脹相の足元が心配なのだ。 -
悠仁りょーかい、何かあればすぐ呼べよ?
-
悠仁じゃあお父さんとお風呂入りたいひと〜
-
悠仁の呼びかけに、子供たちが一斉に手を挙げる。脹相は昨日も見たような光景に微笑みながら腹を撫でた。
-
何事もなく月日は流れ、分娩室から出て小部屋に戻ってきた脹相の腕には双子の男の子が抱かれている。検査ではお兄ちゃんがαで弟がΩ性だった。
子供たちや悠仁が赤ちゃんの顔を覗きに来た。 -
悠仁お疲れ様、ありがとうな……元気な子だな
-
脹相
ふふ、またこれからが大変だぞ

-
脹相
悠仁、抱いてやってくれ

-
悠仁おう、よいしょ
-
悠仁…………?脹相、もしかして
-
脹相
気がついたか?俺も腹に居た時からなんとなくそう感じていたんだが

-
悠仁はかつて繋がりがあった魂を知覚する。途端に瞳に膜が張り、子供たちの手間泣き出さないよう堪えるのに必死だった。
-
悠仁……膿爛相、青瘀相か
-
悠仁は子供たちが顔を見せろと言うので屈んで長男に一人抱かせる。子供たちはお兄ちゃんを囲んで赤子の顔を覗いていた。
-
脹相
来てくれたんだ、俺達の元に

-
悠仁そっか、嬉しいな脹相
-
悠仁はまだ目も開かない赤子を抱きつつ、もう寒い思いも寂しい思いもさせないからな、と語りかけた。
タップで続きを読む