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その日、悠仁は体に感じる重みで目が覚めた。
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目を開くと、自分の真上には昨夜横で眠りについた伴侶が上気した顔で乗り上げている。加えてしばらく嗅いでいなかった良い匂いがしている。
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悠仁え、マジ?ヒート?しばらく来なかったじゃん
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脹相
体がおかしいんだ……悠仁……ほしい……

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悠仁よし、ちょっと待って、ん〜……
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悠仁は腹筋を使い体を起こすと、脹相におはようのキスをひとつ。今日は平日で悠仁は出社するつもりだったが、在宅にしてもらう算段をつける。あとは子供達だ。
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悠仁おっけ。まず脹相は隔離部屋に行こうな。ほら俺の服持って、お前は下行くぞ
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悠仁は、先日脹相がなかなか離れられないと言って夫婦の寝室のベビーベッドに寝かせていた末娘を抱き上げ、脹相を水周りを完備隔離してある部屋に押し込める。脹相のフェロモンは番である悠仁にしか効力を示さないものの、子供達の前でウロウロされては悠仁が困ってしまうのだ。
そうしてリビングへと向かうとそこでは上の子供達が下の子供達の支度を手伝っていた。 -
悠仁(脹相の躾の賜物だな……助かる……)
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長男
おはよ、母さんは?
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悠仁おはよ、ヤバいんだ、ヒートが来た
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長男
え、しばらく来てなかったじゃん
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悠仁俺だってもう終わったもんだと思ってたよ……俺はしばらく在宅で仕事するよ、あとは小学生組は壊相叔父さんや血塗叔父さんに連絡して……
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虎杖家は8番目から上の子供は就学児だ。ある程度のことは上の子供が手伝えばみんな自分で出来るよう脹相が教えてある。1番下二人は保育園に通わせていて、小学生の子供達だけでも預かってもらえたら悠仁一人でも家のことは出来ると踏んだ。
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長男
いいよ、俺見るよ
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悠仁え、大丈夫かよ
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次男&三男
大丈夫だろ、俺達も手伝うよ
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悠仁お前たち……
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脹相がこの場にいたら子供達の成長を実感して泣き出していたことだろう。悠仁はひたすら、脹相の教育に感謝した。
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悠仁ありがとうな、無理すんなよ
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長男
親父もな
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悠仁そうだな、じゃあまず、朝飯作りますか
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料理なら毎日こなしている脹相程ではないしろ悠仁にも出来る。朝食を用意し、会社へ連絡。子供達を送り出し、下二人は保育園へ。仕事では役職になっているので実務はほぼ無いものの営業、教育指導や報告処理などだが一旦止めておき、保育園から帰るとまっすぐに隔離部屋へと向かった。
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悠仁お待たせ
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脹相
悠仁

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部屋のベッドでは悠仁の服で作った巣に埋もれた脹相が悠仁へと手を伸ばしている。悠仁は飛び込むように抱き締めてベッドへダイブ。
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悠仁久しぶりだな、体平気か
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脹相
はあ……あまり平気じゃないな……シたくてたまらない

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脹相は45になる。以前のヒート時のような強烈な欲情は無いものの、それでも普段通りにはいかず、何もしなくとも熱を持つ秘部を悠仁の腰に擦り付ける。
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悠仁えっちじゃん。一回ヤッとくか
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悠仁は起き上がると巣を形成していた服を退けて、脹相を抱き寄せる。口付けをしながら、互いの服を脱ぎ去り身を寄せた。
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脹相
仕事は大丈夫か?

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悠仁平気
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脹相
子供達は、壊相や血塗を頼って

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悠仁上の子供達が手伝うって。大丈夫
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脹相
ほ、本当に……?

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悠仁頼りになるよな。脹相がそうやって教えてきたってのも大きいけど
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悠仁は脹相の頬を両手で包んで優しく口付ける。
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悠仁最高のパートナーだよ。凄いなお前、すげえ仕事をしてきたよ。さすがお兄ちゃんだな
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脹相
一人では子供は産めない。悠仁が居たから、悠仁が……俺は……

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あとは子供達が凄いんだ、と脹相は案の定泣き出した。末娘は3歳を迎えたばかり。まだまだ子育ては終わらないが、子供の成長を喜べる平和な幸福に夫婦は遠い日の自分達を思い出す。
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悠仁(こんな世界の俺達も居るよって知ったらどんな顔するかな……)
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二人はそうやってしばしただただ抱き合っていた。
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続く
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