虎杖さんちのお誕生日

  • 悠仁

    え、誕生日?3月20日すよ。そうそう今日すよ。いや〜家族がお祝いしてくれるらしくて、今日は早く帰ります。あ!気持ちだけで!あざっす!じゃ、お疲れっす!

  • 誕生日を伝えると、他人は意外だと驚くのが常だった。虎杖さんは夏ぽいのにね、とか太陽が似合うのに春生まれなんて意外だね、など。そんなに陽気に見えるだろうか。

  • 悠仁

    (まあ思慮深い方では無いし、そう見えるんかな)

  • 悠仁

    ただいま〜

  • 長男

    お父さんお帰りなさい!お誕生日おめでとう〜!!

  • 次男&三男

    お父さんおめでとう!!

  • 四女

    おめと!!

  • 悠仁

    わ!なに!?

  • 悠仁が愛する我が家の玄関を潜ると折り紙を切って作った紙吹雪が舞った。ついでに子供達四人と最愛の伴侶が顔を揃えて出迎えてくれた。

  • 長男

    お父さんの誕生日パーティーだよ、こっちこっち

  • 次男&三男

    みんなで飾ったの

  • 子供達に手を引かれるままリビングへ向かうと、そこは色紙や風船なんかで飾り付けをされている。

  • 脹相

    子供達は春休みだからな。今朝悠仁を送り出してから一日かけてみんなで作ったんだ

  • 悠仁

    え、マジ?すげぇじゃん!コレ飛行機?誰作ったの?

  • 長男

    僕が作ったの、飛行機

  • 悠仁

    お、やっぱり飛行機?かっこ良すぎじゃね?青い飛行機なんてなかなか思いつかねえよな

  • 長男

    へへへ〜

  • 悠仁は脹相に代わり、四女を抱っこしながら子供達が作った作品を、可愛いかっこいい綺麗嬉しいと褒めて回っている。今日は次男と三男も幼稚園で覚えたての折り紙を、長男にならい一生懸命折っていた。

  • そんな微笑ましい様子を眺めながら、脹相は悠仁の好物をテーブルに並べていく。
    夕飯の後はみんなでケーキを食べて。
    悠仁は子供達を寝かしつけながら、子供達と折り紙や飾り付けの話をしていた。

  • 暗転
  • リビングでは脹相が子供達の作品を大事にファイリングしていた。

  • 悠仁

    折り紙はファイリング出来るけどな、風船な

  • 脹相

    風船は萎むまでおもちゃだな

  • 悠仁

    お前がやってくれたんだろ?子供達の肺活量じゃ無理だもんな

  • 脹相

    やってくれとせがまれてな。酸欠になりかけた

  • 悠仁

    はは、ありがとな

  • 悠仁は脹相の隣に座り、折り紙のファイリングを手伝う。こんな発想をするなんて、我が子ながら末恐ろしいと、二人で作品を褒め称えながら仕舞っていく作業は幸せだった。

  • 脹相

    このまま行くとファイルの量が凄いことになりそうだ

  • 悠仁

    10人分だもんな……図書館並だな。最近は写真やデータに残して捨てるのも有りらしいけど

  • 脹相

    …………俺にはそんなこと出来ない

  • 悠仁

    だよな

  • 悠仁

    でもさ、脹相ってそういうの細かそうだよな。一人一人のをちゃと仕舞っておいて、思い出してくれそう。そういのって、大きくなった時に残ってると嬉しかったりするもんよ

  • 脹相

    そういうのは得意だ。150年やったからな

  • 悠仁

    さすが兄貴

  • 脹相

    悠仁はな

  • 悠仁

    え、俺?

  • 脹相

    悠仁は大きくて暖かい。夏みたいだなって皆に言われるだろう?

  • 悠仁

    そうね

  • 脹相は得意気に笑った。

  • 脹相

    でも、違うんだ。悠仁の眩しさは夏の眩しさじゃない

  • 脹相

    悠仁の眩しさは強さなんだ。冬の厳しさと春のあわいにあって季節が生まれ変わっても変わらない強さだ。変わっていく強さでもある

  • 悠仁

    うん?難しい

  • 脹相

    悠仁は繊細なんだ。繊細で優しくて、だから大きくて眩しい

  • 悠仁

    え?俺そんな考え込むタイプじゃねえけどな

  • 脹相

    それが強さだ。包容力と言うんだ

  • 悠仁

    ん?俺褒められてる?

  • 脹相

    俺はずっと口説いているぞ

  • 脹相

    俺の旦那さんはとびきりいい男なんだ

  • 悠仁

    んん〜なんかいんずいね

  • いつもは脹相が逃げ出したくなるくらい悠仁が熱烈に口説くというのに、今日の脹相は兄からの目線と伴侶からの目線を混ぜて口説きにかかる。悠仁は尻のあたりがむずむずしてきた。恥ずかしい。

  • 脹相は得意になって賛美を続ける。脹相だけが知っている悠仁を。そうして脹相は最後に満足気に呟いた。

  • 脹相

    俺は贅沢者で、幸せだ

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