一つ一つ重ねたカミは

「おい紙ッペラ、早くしろよ」
「は、はい、すみません……」
 太陽に穴が空いた空は真っ暗で、だけど目を凝らすとうっすらと星が見えるような気がして、けれど見上げた空には星はない。
「なんで星がないんだろう……」
 そんなことを気にしたって仕方がないし、そんなことを気にしている場合でもなかったのにそのとき私は無性に空が気になった。
 太陽のない空。
 永遠の夜。
 安堵のような安らぎのようなよくわからない気持ちを抱いてしまったことが不可思議で首を捻る。
「おい、早くしろって」
 タン、タン、と角を叩いている巨大な文房具が私を急かす。
「は、はい、ただいま」
 私は空から目を逸らし、文房具の後に続いた。



 今思えばあれは何かの予感、のようなものだったのかもしれない。
 それともそれも単なる輪の中の一つに過ぎなかったのか。
 知らない、わからない、わからなくていい。
 それがいつまで続くのか。
 最近のパンチさんはなんだかずっとイライラしている。穴空けの頻度も上がったし、オリガミ兵に穴を空けては戻し空けては戻し、声をかけようにもかけると空けられそうになるのでかけられない。
 決定的な一言を言えば終わってしまうのではないか。
 結局それが怖いのだろう。私は。
 だから■■しているのだろう。
 わかっていてもパンチさんの言う通り私にはない、欠けている。
 そもそもこんなモブの一人が何かと向き合おうとすること自体おかしいんだ。キノピオはキノピオらしく助けを待っていればいいのに馬鹿らしい、馬鹿らしいけれどもう、笑って流せるレベルでもなくなってきている。
 確かにそれはあった、存在していた、なんなら今だって存在している。
 そんなこと次はないかもしれない。今を逃せば消えてしまう幻かもしれない。
 それがどうしたっていうんだ。
 私は私だし、どこまでも無力だ。
 それが確かにそうであっても関与できる力なんてない、
 本当にそう?
 わからない、何もわからない、
 わからなくていい、のはいつまで?
 思考を投げている間にもパチン、という音はしていて、私はただそれを、きれいだなあ、なんて思ってしまうバグった感覚を、ぐるぐるぐるぐると回していた。
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