一つ一つ重ねたカミは

 手を伸ばすつもりで伸ばせなくて。
 違う、最初から伸ばすつもりなんてなかったのにそんなふりをしている。
 時々届くかななんて思ったりすることもあって、けれどもそれは勘違いで、
 なんてしているうちに何もかも終わってしまった。
 過ぎたものに対していくら後悔しても足りないし、そもそも後悔なんてする方が間違っている。
 終わった後なら何だって言える、けれど言えないこともあって。
 わからない、何もわからない、一人になっても言えない、認められない。
 そんなことをしている間に■がやってきてしまう。
 自分の意志なのに、そのはずなのに、苦しくてたまらない。どうして、救えないならどうして。
 わからない。
 何も。
 わからなくなってしまった。
 だけど止めることはできない。
 約束をしたから。
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