一つ一つ重ねたカミは

「なーなーDJ! 3秒間息止めて!」
「え、何ですか」
「いいからいいから!」
 言うことを聞かなければ穴を空けられてしまいそうなので、疑問を飲み込んで息を止める。
 と、
 ちゅ。
「え」
「息止めろって言っただろ」
「今、何を」
「何だと思う?」
「何、って、キ……」
「ストップ」
「えっ」
「言ったら終わる」
 何が?
「わかってんだろ?」
「え、え……」
 わからないです。
 わからなくていいはずなんです。
「なー何だと思う?」
「えーと、脅迫……」
「カンがいいな!」
「えーとそんな感じの何かなんですか?」
「そうそう」
 うんうんと身体を揺らして頷くパンチさん。
 穴あけパンチなのにこれで頷いてるんだってわかるの、私も相当キてるんじゃないかと思うけどそのことは今は置いておこう。
「それで本当は」
「何だろうな?」
「えっと」
「言うなよ」
「なんで……」
「なーDJ、立場考えろ? おれッチは怪物、オマエは紙ッぺラ。オマエが想像してるようなことがあったらそれはどうなる?」
「……」
「おかしいんだよ、そんなのは。ありえないんだよ、成立しないんだよ。わかるか?」
「えっと」
 思考が鈍っている。認識したくない何かが確かにそこにある。
 この人は何を言っているのかってこと、わかるような、わからないような、本当はわかっている、でも、
「以上終わり、質問は受け付けませェん」
「ええと」
「なァ?」
「わ、わかりました……」
 わかっていればいい、わかったふりをすればいい、そうすればその後はいつものように、終わり。
 だから。
 私はそれを飲み込んだ。
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