一つ一つ重ねたカミは

 わからねーと思ってた、そのはずだった。
 いつから違ってたのかは知らねー。どうでもいい、けど今回ばかりはそれがどうでもよくなっちまってるのかもしれねえ。
 それだってどうでもいいんだがな。
 穴を空けたい、それだけだった。それ以外の欲は邪魔で、無くてもいいもので、不必要だったし、自覚することもできなかった。
 そのはずだったんだが、だんだんおかしくなった。
 あいつの一挙一動にだんだん何かが動くようになった。
 何かはわからねー、それがたぶん「心」とやらなんだろう。
 おれッチは自分のことを悪魔だと思ってたし、そう呼ばれてしかるべきものだと思ってた。
 悪魔に心はいらない。必要ない。だからそんなものも不要で、そう、穴を空けたい、それだけだって、自分で自分をナットクさせて、
 でも駄目だった。
 あいつが泣くと嬉しい、あいつが怯えると嬉しい、あいつが困ると嬉しい、あいつが■■と嬉しい。
 おかしくなってる、その通り。
 文房具の怪物が紙ッペラを■■なんてどう考えてもおかしい。間違っている。そんなのはルール違反なんだよ。
 言っちゃいけない、遊ぶだけ。遊ぶだけなら許される。だからおれッチは遊んで遊んだが、それでなんとかなるわけもなく。
 じりじりと追い詰められてく。「それ」が形になってく。
 助けを求める? そんなのはナンセンスだ。誰かに頼るなんて文房具の風上にも置けねえしつまんねー。だいたいそれで助かるわけもねーし。
 何をしたってどうなるわけでもねえし、おれッチは怪物だし、本当に追い詰められたら空ければいいだろって諦めて、たった一人、カチ、と刃を鳴らした。
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