一つ一つ重ねたカミは

「な~DJ!」
「なんですか」
「DJってそれ以上背ェ伸びないの?」
「ど、どういうことですか」
「子供の身長じゃね?」
「ああ、背が低いってことですか?」
「そう」
「キノピオはみんな同じ身長なんですよ」
「そうなのか」
「ええ。文房具は違うんですか?」
「種類によって違うに決まってるだろ」
「じゃあパンチさんみたいな穴あけパンチはどうなんですか」
「メーカーによって違うだろ。型番が同じだったら同じだけど」
「それと一緒なんじゃないですか?」
「まあおれッチたちは規格に従って作られてると思うから同じじゃないと困る奴がいるんだろ、たぶん。でも紙ッペラ、キノピオ? だっけ? は別に一緒じゃなくても誰も困らねーんじゃないの」
「そ、そう言われればそうですが」
「だったら違っててもいいのにな」
「まあ、そういう決まりなんじゃないですか」
「ああ、そういう決まりね」
「納得するんですね」
「そりゃまあね」
「てっきり、決まりなんてつまんねーとか言うのかと思ってました」
「ま、いくら頑張っても破れねえ決まりってもんはあるからな」
「……」
 そのときのパンチさんは何だかいつもと違う雰囲気で、機嫌がいいのか悪いのか測りかねたけどまあ、気まぐれなのはいつものことかななんて何度も繰り返した理由で私は納得した。
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