一つ一つ重ねたカミは

 太陽は可視光線と不可視光線を出している。
 では、あの人もそうなのだろうか。
「DJ、何じっと見てんだ」
「い、いえ」
「いえ、じゃねーよ、何かあるだろ」
「えっと」
「言えないことか?」
「その、言えなくはないんですが」
「なんだよ」
「……」
「……」
 ずい、と近付くパンチさん。
 心臓に悪い。
 カチ、カチ、と刃が鳴る。
 怖い。
「その、パンチさんは……不可視光線も出してるのかなって」
「は?」
 焦って思考をそのまま口に出してしまった。
「す、すみません。あの、太陽は目に見える光と目に見えない光を出してるって聞いたことがあって」
「へえ。で?」
「それで……」
「おれッチが太陽だって?」
「な」
 心読めるんですか、と訊いてしまいそうになる。
「オマエの考えてることぐらいわかるし。わかりやすいんだよなオマエ」
「そ、そんな」
「それで、どんな光を出してるかって訊くんだろ」
「そう、ですが」
「オマエはどう思う?」
「は、はい、両方出してると思います」
「へえ。どんな?」
「目に見えるのはこう、ぎらぎらしていて、目に見えない光は……」
「目に見えない光は?」
「……」
 魅力、だなんてさすがに恥ずかしくて言えない。
「へえ」
 にやにやしている感じの雰囲気を漂わせるパンチさん。
「オマエほんとおれッチのこと好きだな」
「好きってそんな」
「違うのか?」
「え」
 それはあまり言わない方がいいことになっていて。
「ご想像にお任せします」
「ふーん」
 パンチさんは後方に下がり、くるりと回った。
「ま、言いたくなったら言えよ」
「あ、はい……」
「感謝」
「ありがとうございます……」
 なんだか丸くなっているような気がするのは気のせいだろうか。
 まあそんなこと気にしてもどうしようもないのだけれど。
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