一つ一つ重ねたカミは

 パンチさんは太陽ですね、と言われたことがある。
 誰にって、あいつにだよ。おれッチにそんなこと言うのなんてあいつしかいねーだろ。
 そのときは当然だろなんて答えたけど、実際どうなんだろうな。
 何だっていい、おれッチは太陽以外になる気はないし、月になんて望まれたってなってやんねえ。死んだって輝き続けてやる。
 文房具が死ぬことがあるのかどうかは知んねえけど生きてる以上必ず死はあって、だから毎日楽しい方がいいって思ってて、どうせ死ぬなら楽しんだ方がいい。
 そうだろ、と同意を求めてもあいつはそうですねとしか言わないし。
「なーおれッチが死んでも」
「きゅ、急になんですか」
「ずっと太陽って思ってろよ」
「ええと」
「約束な」
「は、はい……」
 約束をしたからきっとそう。ずっと思ってくれるだろう。
 永遠なんて無ぇと思ってるおれッチでも、そのときは信じてもいいかもなんて思って。
 究極そんなことは知らねえしどうでもいい、でも。
 何もないよりはいくらかマシだった、とか思うのは日和っちまった証拠、だったのか。
 今となっては確かめようもねーけど。
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