一つ一つ重ねたカミは

 月になってくれない、数ヶ月前に死んだあの人が、月になってくれないのだ。
 ふとした瞬間に思い出す、ぎらぎら輝く太陽。
 輝きは日に日に増していくような気さえして、救えない。
 死んだ者はやがて月になり、生きている者を穏やかに見守る、そうであればよかった、しかし生憎私とあの人はそんな優しい関係ではなかった。
 思い出す、ということ自体、私がどこかおかしくなっている証拠なのかもしれないし、たぶんそうだし、本当に救えない。
 現実だけは生きて進んで、太陽がなくなったのに続く真昼。
 輝いている、残ってしまっている。仕事をしていても、あの人がどう言うか、ノってくれるかどうか、そんなことを必ず考える。
 おかしくなっている。

 ■は病気だ。
 そう言った人がいた。
 それが真実なら、私のこの病気はいつになったら治るのか。
 世間にも仲間たちにも顔向けできない、後ろ暗い感情だ。
 けれどもしあの人がそれを聞いてもたぶん、笑うだけなのだろう。おもしれー、とか何とか言って。
 責任すら取ってくれない。きっとそんなところも■なんだろうと思う。
 終わってしまった■はそうして燻り、いつまでも消えないままでいるのだ。
 月にならない。
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