一つ一つ重ねたカミは

「こんな曲じゃノれねーよ、失格」
「す、すみません」
「オマエ、センスないんじゃない? つまんねー、もういいよ」
「え……」
「穴空けるモノ減ってきちゃったし、DJ! 今日はオマエな」
「ご、ごめんなさい、それだけは、それだけは勘弁してください……! お願いします……」
「やーだよ、時間切れ」
「すみません、何でも……なんでもしますからぁ……許してくださいパンチさん……」
「許すとか許さないとかそういう問題じゃねーの。おれッチは飽きた、穴空けたい、それだけの話。ワカル?」
「いえ……あの……そうだ、私はこんなもんじゃないんです、ここに来る途中に……サウンドディスクを落としてきたんです、それがあれば、それがあれば……パンチさんを最高にノらせることが……できますから……お願いします、次は、次こそは……」
「……へェ」
 少し、感情が動くのがわかる。
 言い訳を呑んだわけじゃない。ただ、おれッチの下に這いつくばって惨めに許しを請うてべしょべしょになっているこいつを……■■たいと思った。
 ……?
 何したいって?
 わからない。思い出そうとしても思い出せない、霧散してしまう。
 穴空けてえんだろ? そうなんだろ?
 違う。
 じゃあ、何だ?
 わかんねー。どうでもいい。けど、そんなこと考えてる間に、飽きたとか飽きないとか、穴を空けるとか空けないとか、なんかどうでもよくなっちまって。
「やめた」
「えっ」
「今回はナシだ。『許してやる』。感謝しろよ?」
「あ、ありがとうございます……!」
 涙を流して感謝するそいつ。
 愉快だ、と思う。
 惨めだ、と思う。
 ああ、■しい。
 カチ、カチ、と刃を鳴らし、
「次はないから」
 告げる。真っ青になるそいつをああ、■しい、とまた思った。
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