一つ一つ重ねたカミは

 怪物の影を追っている。
 追って「しまう」。
 あの人が喜んだ曲、突っぱねた曲、褒めてくれた曲、貶された曲、気に入った曲、気に入らなかった曲。
 シミュレートしてしまう。この曲、このプレイ、あの人なら何と言うかと。

 影を追ってしまう。
 日の当たる道、濃く残る日陰、太陽に黄はないか。
 日が沈んだ夜道、ギラギラ光るネオン、その中に黄はないか。

 探してしまう。

 傷なのかもしれない。ただの症状。
 まやかしなのかもしれない。ただの思い込み。
 煌めく場所で怯えながら、でも確実に「選ばれ」続けながら過ごした日々。
 過ぎてしまえばそれも悪くはなかったな、なんて、思ってしまえば最後なのに。
 煌めく黄を、まだ追っている。
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