一つ一つ重ねたカミは

 喝采の中、あの人がこちらを向いて笑う。
 そんな夢を見た。
「……」
 夢は夢でしかない。ホールに喝采はなく、あの人はもう、この世には。
 ペラペラが死んだら天界に行くのだろうか? わからない、では文房具が死んだらどこに行くのだろうか。
 きっと同じ場所には行けない、漠然とそう思う。
 メタリックなあの人の身体。オマエみたいな紙ッペラとは違うんだぜ、といつしか言われたことがある。
 太陽はあんな銀紙じゃないし、空も深くて青いんだ。
 見たことのない世界のことをまるで見てきたかのように語るパンチさんは楽しそうで、なあお前も見たいだろと同意を求められて頷くと、満足そうな姿。
 この人と一緒に世界を見てみたい、なんて思ってしまったことを正直言って後悔している。どうせ叶わぬ夢ならば、抱かない方がまだましだ。
 輝く世界を知ってしまったら元の場所にはもう戻れない。その時点で私は他のキノピオたちと「違って」しまったのかもしれない。
 日に日に薄れていく。
 薄れて、褪せて、誰にも止められなくて。
 真っ白になったらパンチさん、私はどこへ行くのでしょうか。
 一緒の場所には行けない。それでも。
 夢くらいは見させてください。そう呟く。
 白くなってゆく視界の彼方、深くて遠い、青空が映ったような、そんな気がした。
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