一つ一つ重ねたカミは

 回っている。夢の中で回っている。
 記憶が遠くなっても黄色は薄れず鮮烈なまま。
 どうして捉われているんだろう、いつまで捉われているんだろう。わからないまま回っている。
 眠ると必ず夢を見る。
『ナイス! イケてるじゃんDJ!』
 思い出すのはそればかり。彼が喜んだ、ノった、アガった、そんな場面。
 違うんです、違うんです、そんなのは違うんです。本当はもっと、超至近距離で詰られるような、そんな色だったんです。
 けれど記憶が再生するのは美しい色だけ。
 違うんです、違うんです、いくら主張しても変わってくれない。
 心臓が竦む恐怖感を、身を切るような緊張感を、それらに■■してしまっているかのような自分を、
 救われないなと思いながら今日もまた夢を見る。
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