ペーパーマリオオリガミキング

「弟子くーん」
「なんですか」
「眠いです」
「昨日オールナイトでしたからねえ……仮眠はとったんです?」
「それが眠れなかったんですよ……輝きが忘れられなくて」
「師匠にしちゃ珍しいですね。店、俺が見ておくんで、ちょっと寝てきます?」
「あー……大丈夫。できます」
「そうですか。俺、在庫整理してるんで、何かあったらいつでも呼んでください」
「ありがとう」

 輝きが忘れられなくて眠れなかった、それは本当だ。
 だがその輝きが「いつの輝きか」ということはまた別の話。

 昨日ディスコでかけた曲は「あの曲」だった。
 あのお方が好きだったスリリング・ナイト。
 あの夜以外であの曲をかけることは二度とないと思っていた、しかし昨日のあのディスコではそれを選曲するのが一番だとも思った。
 どちらが本物の気持ちなのか、私にはわからない。

 昨日のディスコは輝いていた。それは本当。
 けれども、「あの夜」のディスコが一番、一番輝いていた。
 それも本当。

 忘れられなくなってしまったのは私が悪いのだと思う。
 などと言うと、弟子くんなんかにはそれは考えすぎですよって言われてしまうだろうか。

 「あの夜」じゃない夜に「あの曲」をプレイすることで忘れようとしている、薄めようとしている。
 そんなことをするのは曲に失礼とわかってはいるのだけれど。

「……はあ」
 ため息。
 扉に貼り付けた段ボールの隙間から陽が差し込んできている。
 砂漠の強すぎる陽。
 本物の太陽のある「昼」は私には暑すぎて、どうしたものかと思うけれど解決策も見つからなくて。
 薄めようとする程度で薄まる記憶ならこんなに悩まされてはいなかった。
 それも。

 静寂。
 いつまで経っても彼は還らず。
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